【えほんのとびら】 No.218「うさぎのみみはなぜながい」

福音館書店

作・絵:北川 民次 

 からだが小さいために他のけものからいじめられてばかりいるうさぎが、あるとき神様に「わたくしを もっと おおきくしてください」とお願いしました。

 神様から「とらと、わにと、さるとを、じぶんの てで ころして、その かわを もってきたら、おまえの ねがいを かなえてやろう」と言われたうさぎは途方にくれますが、勇気をふるいおこし、精一杯の知恵を使い、まずは森の中で一番強いとらをだますのに成功。あとの二匹の動物の皮も手に入れることができました。

 うさぎがだんだんしたたかになっていく様子は、その目つきの変化によくあらわれています。

 神様は、さし出された皮を見て、知恵のはらたくうさぎにこの上大きなからだを与えたら大変なことになると思い、耳だけ大きくしてやることにしたのです。

 メキシコに伝わる古い古い昔話を絵本にした作品。作者は、この国の芸術を深く愛し、長く生活したことのある日本人画家です。メキシコの風土と文化を肌で感じてきた作者ならではの色合いと画風による、民族色の濃い作品です。

(ぶどうの木代表 中村 佳恵)

© 株式会社サンデー山口