看護師が酸素飽和度を読み間違え 宿泊療養中に死亡、京都の60代男性

京都府庁

 京都府が運営する新型コロナウイルスの宿泊療養施設で5月に60代男性が死亡した問題で、府は8日、容体悪化の目安となる男性の血中酸素濃度を看護師が読み間違えていたと明らかにした。死亡が確認される前日には入院調整が必要な数値に達していたという。

 血中酸素濃度は「パルスオキシメーター」という機器を指先に挟んで測る。男性は施設の部屋で自身で計測し、数値が表示された機器の画面をタブレットで看護師に送っていた。

 画面には血中酸素濃度と脈拍数が表示される。府によると、男性が使用していた機種は、ボタンを押せば数字が上下反転する機能があり、看護師は脈拍数を血中酸素濃度と読み間違えていたという。今回の事案の検証を進める中、別の看護師が気付いて判明した。

 府はこれまで男性の死亡が確認される前日(5月25日)に計3回測定した血中酸素濃度について、「92%」「95%」「98%」としていたが、実際は「52%」「72%」「76%」と大きく下回っていた。厚生労働省のマニュアルによると、93%以下になれば酸素投与が必要で、入院調整が求められる状態とされる。

 西脇隆俊知事は8日の会見で「誠に遺憾で、心からおわび申し上げる」と謝罪した。死亡との因果関係については「われわれに検証する能力はない。ただ、数値が正しく読み取れていれば適切な健康観察につなげられた」と述べた。府は今後、同機種のパルスオキシメーターは使用しないと決めた。

 亡くなった男性は5月19日に陽性が判明し、20日に京都市内の宿泊療養施設に入所。看護師が健康観察のため電話で連絡を取っていたが、25日夜から途絶えた。26日午後に部屋を訪れたところ、心肺停止の状態で見つかった。男性には基礎疾患があったという。

© 株式会社京都新聞社