イタリア発!お針子の波瀾万丈な人生を描いた小説『ミシンの見る夢』

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今日の「まっこリ~ナのカフェボンボン」の本棚は、『ミシンの見る夢』

イタリアの国民的作家で児童文学の第一人者が書いたベストセラー小説。お屋敷に通って裁縫をするお針子の少女が、自分の力で懸命に生きる姿を描きます。

ミシンの見る夢
著者:ビアンカ・ピッツォルノ/翻訳:中山エツコ
出版社:河出書房新社

美しい装丁に魅かれて手にした本を読み始めると、小さなお針子の少女の物語にたちまち夢中になりました。

物語の舞台は19世紀末のこと。当時のイタリアでは、日雇いで繕い物や縫い物をする「お針子(サルティーナ)」が、ごく普通の存在だったそうです。この物語には、お針子さんのいた時代のことが忘れられないようにという著者の願いが込められています。

疫病の流行のあとで祖母とふたりきりになった少女は、腕前のいいお針子だった祖母から裁縫を習います。日雇いで縫い物の腕を磨きながら、やがて一人前のお針子として成長していきます。良家の令嬢のために花嫁道具の衣類、リネン一式を縫うこともあれば、「この世でいちばん美しいベビー服一式を」と頼まれることも。さまざまな家庭に出入りするなかで、見聞きしたことや体験したエピソードが語られていきます。毎日のように顧客の家に通って縫い物をするうちに、外からは決してうかがい知れない家庭の秘密も知ることになって……。

自分の腕ひとつで誇りを持ってひたむきに生きる主人公に心打たれます。表紙カバーの装画には、金色の模様のついた黒いミシンが描かれています。お針子として通った家の令嬢から贈られた、宝物のように大切なミシンです。

ラブ&ピースな一日を。
Love, まっこリ〜ナ

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