被災時 実習船を基地局へ 宮崎海洋高、ドコモ訓練

実習船「進洋丸」に衛星アンテナなどを積み込む宮崎海洋高教員とNTTドコモ社員ら(提供写真)

 本県沿岸部の携帯電話基地局が巨大地震の津波などで被災したケースに備え、宮崎市の宮崎海洋高(持永一美校長)とNTTドコモ(東京)は、実習船「進洋丸」を「船上基地局」として活用する準備を進めている。5月下旬の訓練では実際に実習船を出港させ、洋上からの電波発射に成功。両者は「有事の際は速やかに行動したい」と、さらに習熟度を高めていく方針だ。
 海洋高校の実習船を基地局代わりに活用するのは全国でも初の取り組みで、同校と同社は今年3月に連携協定を締結した。南海トラフ巨大地震などで通信手段が遮断された際は、同社の通信装置を進洋丸に積み込み、洋上で衛星回線を利用して電波を送受信。避難所などに向けて電波を発射することで、通信サービスを復旧させる。
 訓練は同市のみやざき臨海公園沖で実施し、同社宮崎支店の技術者や同校教員ら約30人が参加した。アンテナなどの装置をクレーンで実習船に積んだ後、450メートル沖へ移動。船上から衛星を捕捉し電波を発射したところ、同公園一帯で待機していた同社社員が受信を確認できたという。
 同社は「宮崎海洋高のアドバイスを受けて効率的に訓練できた」、実習船の小野潔船長は「電波発射の成功で、実習船の災害時貢献に向けて前進できてよかった」と話した。

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