ヘイト集会制限も 川崎市が基準「研究」

 川崎市で在日コリアンへのヘイトスピーチデモが繰り返されている問題で、川崎市は1日、人種差別的な集会に対して都市公園の利用を制限する基準づくりを研究する方針を明らかにした。

 同日の市議会本会議で、金子正典建設緑政局長が「条例では公園内で行われる集会を不許可にする明確な基準はないが、国の動向も注視しながら関係部局と連携して研究したい」と答えた。

 都市公園で集会を行う場合、利用目的や期間を記した公園内行為許可申請書を市に提出し、審査を経て許可される。表現の自由などの関係から不許可となる場合は設備や樹木の破壊につながる恐れのある利用に限定されている。

 このため、ヘイトデモのような人種的憎悪や人種差別を扇動する集会でも利用は許可されてきた。

 都市公園を所管する建設緑政局は今後、市民・こども局の人権担当などと連携し、不許可とする集会の定義や審査手続きの見直しなどの研究に着手する。発言がヘイトスピーチか否かを判断する審査会を設置する大阪市条例も参考にしていくという。

 同日の本会議では、福田紀彦市長も「一部の国や民族を排斥する言動は残念であり、あってはならない。ただヘイトスピーチの規制は現行法では対処が難しいことから、国に実効性ある対策を求めることにした」と説明。一方で「川崎市人権施策協議会などさまざまな意見をいただきながら対応したい」とも述べた。市内のヘイトデモは2013年5月に始まり1月31日まで12回行われた。

 民主みらいの織田勝久氏(宮前区)と共産党の市古映美氏(中原区)の代表質問に答えた。

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