2020年版過重労働解消キャンペーンの重点監督結果

2021年5月1日、厚生労働省から「令和2年度過重労働解消キャンペーン」における重点監督結果が公表されました。
「過重労働解消キャンペーン」は毎年行われているものです。
結果をみていきましょう。

「過重労働解消キャンペーン」の実施内容

過重労働解消キャンペーンとは、11月が「過労死等防止啓発月間」であることから、厚生労働省が毎年同月に行っているキャンペーンです。
過労死等のひとつの要因である長時間労働の削減など、過重労働解消に向けた集中的な周知・啓発等の取り組みが行われます。
さらに、過重労働が行われている事業場などへの重点監督も予定されており、もし重大・悪質な違反が確認された場合は送検され、社名公表もされるなど、企業にとってダメージが大きい処分が待っています。

重点監督結果のポイント

令和2年11月と前年をくらべた結果は以下の通りです。

全体の指導実施事業場数は少しですが、増加が見られます。
過重労働削減や職場環境改善が叫ばれる中で数が増えていることで、改善すべき点はまだまだある、ということが示されています。
また、前回から引き続き「違法な時間外労働」が最も多くの割合を占めています。

監督指導事例

では、どういった事業場に対して監督指導が実施されるのでしょうか。
立ち入り調査が実施された事業場の一例をご紹介します。

派遣業

① 若者の「使い捨て」が疑われる中小企業の事業場
② 労働者について、特別条項に定められた特別延長時間まで労働時間を延長できる手続きが適正に行われていない状態で、36協定で定めた上限時間を超える違法な時間外・休日労働が認められた
③ 1年以内に5日間以上の年次有給休暇を取得させていなかった
④ 心理的な負担の程度を把握するためのストレスチェックを実施していなかった

労働基準監督署は②③④について是正勧告を行い、②については、さらに時間外・休日労働を月45時間以内とするための具体的方策を検討・実施するよう指導しています。
④のストレスチェックは、従業員数50名以上の事業場で実施が義務付けられているものの、「バレなければいい」「面倒くさい」といった理由で実施していない可能性がある事業場がまだまだあるんだと認識を新たにしました。
36協定を締結したり、年に1回ストレスチェックを実施したりと「そんなの面倒でやってられない」と考える人もいるかもしれません。
しかし、その考え方が違法な時間外労働や過重労働を生み、過労死などにつながる可能性があります。
自社だけでの取り組みや対策が難しい場合は、アウトソーシングするのも一つの手段です。

<参考>
厚生労働省「令和2年度11月「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果を発表」

投稿 2020年版過重労働解消キャンペーンの重点監督結果産業保健新聞|ドクタートラスト運営 に最初に表示されました。

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