長崎の路線バス維持へ 共同経営を検討 長崎自動車と県交通局

 新型コロナウイルスの感染拡大などでバス利用者が減少する中、長崎自動車(長崎市、長崎バス)と県交通局(同市、県営バス)が市内の路線バス網の維持に向けダイヤ編成などを調整・効率化するため、独占禁止法の特例法に基づき共同経営の導入を検討することが8日、分かった。9日に記者会見して発表する。
 昨年11月、乗客減に苦しむバス会社の存続に向け独禁法の適用を除外する特例法が施行された。ダイヤ編成などの調整は本来カルテルに当たり独禁法で禁止されているが、国の認可を受ければ可能となった。国土交通省によると、これまでに熊本市を中心とする地域、岡山市内の運行会社の計2件が認可されている。
 バス利用者は以前から沿線人口の減少に伴い減っており、昨年からの新型コロナ感染拡大で事業者の経営は一層悪化している。今後も減少傾向は続く見通しで、長崎市でも長崎バスと県営バスが競合路線を多く抱えたままでは、将来的に路線網を維持できない可能性があるという。
 このため両者が連携協定を締結し、独禁法の特例法に基づく共同経営の導入を検討する。ダイヤ調整などの対象路線は今後詰めるとみられ、市公共交通活性化協議会の意見を聞き、国に共同経営計画を提出する。
 長崎自動車と県交通局は昨年4月~今年1月の10カ月間で、コロナ禍に伴い利用者(県外高速バス、空港線、都市間輸送除く)が前年比で2割減少したとして、田上富久市長に支援を求めていた。


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