Jクラブのスポンサーが「お金を出すことが社長の道楽であってはならない」と語ったワケ

サポーターからスポンサーになった男がいる。今季から川崎フロンターレのクラブパートナーになった株式会社エレファントストーンの代表取締役CEO 鶴目和孝氏だ。

スポンサーになったものの、「お金を出すことが社長の道楽であってはならない」と警笛をならす。その真意を聞いた。(前編はこちら

――「スポンサーとして社長として考えないといけないことがあります。それは「社長の道楽」になってはいけない、ということです」とはどういうことでしょうか?

まず、話をする前にJリーグのチームのスポンサーについて整理しないといけません。一概に「スポンサー」と言っても、一般的に想像しやすいユニフォームに名前を載せることやスタジアムに看板を出すことだけでなく、様々な形があります。

弊社はそういった既存の広告スペースへの露出は行っていません。そのかわりに、自分たちが作った選手紹介ムービーの前に自分たちの会社のロゴを流すことをお願いしています。

――新しい広告枠を作った、と。

そうです。Jリーグチームのスポンサーになると一応ビジネスマッチングがあるのですが、現在は新型コロナウィルスの影響で休止中です。

好きなチームのスポンサーになった、で終わりではなくてお互いがWIN-WINになるように考えていかないといけません。現地で試合観戦をしていると新型コロナウィルスの影響でどのチームもスポンサーは減っているように思えます。看板の数が減っていたりです。

ということは、Jリーグのスポンサーになる利益はあまり感じていない社長が多いということです。つまり、好きで応援しているけれど金銭的なメリットはない、だから有事の際にはすぐにスポンサードを切られてしまうのではないかと。

――新しい広告枠を作ったのもそのことを考えて。

はい。看板の1社がどこかの会社から自分たちの会社になったのではフロンターレとしてはプラスマイナスゼロです。

それに、社内にも「社長の道楽」でフロンターレにお金を出している、となっては悪い影響を生んでしまいます。そこで映像にロゴを入れることを思いつき、私自らプレゼンを行いました。

――映像制作の世界で映画やドラマでもない限り制作会社のロゴはでませんよね?

裏方なので、これまでもどの映像を手掛けたかというのは言えない部分がありました。

でも、フロンターレの選手紹介でロゴが流れれば、それを見た大人たちが「僕らの応援しているチームの映像はエレファントストーンが手掛けているんだ」とちょっとは思ってくれるかもしれません。その中には広報だったり、経営判断の権利を持つ人もいるでしょう。そうした人たちが映像を作ろう、となった時にエレファントストーンに頼んでみよう、となれば良いなと思っています。

実際に僕も、お菓子を買うならロッテ、充電器などガジェットを買うならAnkerと、フロンターレのパートナー企業がまず選択肢に入ります。

――応援しているチームがより強化資金を得て、さらに自分たちもプラスになるということですね。ちなみに、スポンサーになって一番うれしかったことはなんでしょう?

会社の10周年記念に中村憲剛さんがビデオレターを送ってくれたことです(笑)。また、サポーターの方がSNSで好意的に反応してくださったり、初めて弊社のロゴがスタジアムで流れたあとに拍手をしてくれた時もすごく嬉しかったですね。

――ありがとうございました!

※創業10周年を記念してクラブから贈られた特製ユニフォーム。川崎フロンターレの試合では映像にも注目したい。

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