ふるさと納税で住民税が控除されたか確認する方法、漏れがあった場合はどうすれば?

年々ふるさと納税をする人が増えています。控除上限額が定められていて、いくらまでできるかはふるさと納税のサイトで簡単にシミュレーションできますが、実際きちんと納税した分住民税が控除されたか不安になることはありませんか? まれに自治体の事務処理もれで控除されていなかったというニュースもありました。

そこで今回は、ふるさと納税で住民税が控除されたか自分で確認する方法を紹介します。


税金が控除され、返礼品ももらえるふるさと納税

ふるさと納税とは、自分で応援したい自治体へ寄附できる制度のことです。寄附をすると、自分で寄附金の使い道を指定することができ、その自治体に直接貢献することができます。さらに、寄附金は税金から控除されるうえ、その地域の特産物が寄附の返礼品としてもらえるという、お得な仕組みになっています。

自分の住んでいる自治体に住民税を払っていても、その使い道を直接指定することはできず、返礼品ももらえません。しかし、払っている住民税の一部を他の自治体におすそ分けすると、その分の使い道を指定でき返礼品がもらえるのです。

もっとも、住民税が全額ふるさと納税できてしまうとその自治体の運営が不安定になってしまうため、年収や家族構成などの条件によりふるさと納税の上限額が設定され、それ以上ふるさと納税しても控除は受けられないことになっています。上限額は、ふるさと納税サイトで限度額をシミュレーションできるので、確認してから納税するとよいでしょう。

ワンストップ特例なら確定申告が不要に

ふるさと納税には確定申告不要で税金を戻してくれるワンストップ特例があります。1月~12月までの寄付先が5つの自治体までという条件をクリアし、納税した自治体に「ワンストップ特例申請書」を翌年1月10日までに提出すれば確定申告は不要です。

仕組みをわかりやすく説明すると、各自治体が「この方(納税者)はうちの自治体(ふるさと納税先)に○○円納税してくれたから、そちらの(納税者の住んでいる)自治体の住民税から控除してくださいね」というやりとりを自治体どうしでしてくれる流れです。納税した金額から2,000円引いた金額が翌年の住民税から減額されます。

きちんと控除されたか確認するには、毎年5月~6月に住んでいる自治体が発行する「住民税決定通知書」の「寄付金控除」または「税額控除額」の金額で確認します。この「住民税決定通知書」は、給料から住民税が天引きされている場合は勤務先から渡されます。また、自営業やサラリーマンでも勤務先で住民税が天引きされず自分で納税している場合は自治体から自宅に送付されます。

この「住民税決定通知書」の「寄付金控除」または「税額控除額」の金額が、昨年のふるさと納税額-2,000円とおおよそ同額になっていれば正しく控除されたことがわかります。

住民税決定通知書の見方

住民税が控除されているか確認するときは、「住民税決定通知書」の税額の市町村の「税額控除額(5)」、道府県の「税額控除額(5)」を見ます。2つを合算した額と昨年のふるさと納税の総額から2,000円を引いた額がほぼ同じ金額かどうかを確認しましょう。

ふるさと納税した自治体ごとにいくら控除されたかの明細はないので、昨年のふるさと納税総額で確認します。もし、実際にふるさと納税した金額と「住民税決定通知書」の金額に相違があれば、住んでいる自治体に問い合わせてみましょう。

控除もれなど万一のこともあるので、ワンストップ特例を使ったとしても送られてきた納税証明は控除が確認できるまで保管しておくことをおすすめします。

確定申告をした場合

医療費控除や住宅ローン控除など確定申告をする場合や5自治体を超えてふるさと納税をする場合は、ワンストップ特例は利用できないため、確定申告が必要です。

ワンストップ特例の場合は、ふるさと納税をした金額から2,000円引いた金額とほぼ同額が翌年の住民税から控除されているか「住民税決定通知書」だけで確認できますが、確定申告の場合、2つの金額の確認が必要になります。確定申告で戻ってくる所得税の還付額と「住民税決定通知書」の控除額です。

詳しく説明していきましょう。

まず、確定申告すると、ふるさと納税は「寄付金控除」として実際納税した金額から2,000円引いた金額が控除されて所得税が計算され、所得税の還付によってふるさと納税した金額の一部が戻ってきます。これが確定申告で戻ってくるふるさと納税の一部です。…(1)

※他に医療費控除や住宅ローン控除など申告事項があれば、戻ってくる所得税全額が「寄付金控除」による還付額となりません。「寄付金控除」を入れる前と後の確定申告還付額を計算すると、「寄付金控除」のみによる還付額(これが(1)になります)を把握しておくことができます。

次に、確定申告によって還付しきれなかったふるさと納税の残りは、翌年の住民税の減額によって控除されます。確定申告した年の5月~6月に届く「住民税決定通知書」に「寄付金控除」または「税額控除額」として記載されます。…(2)

(1)+(2)の合計が、実際したふるさと納税から2,000円差し引いた金額とほぼ同額になっていれば問題なく控除されていたことになります。

つまり確定申告でふるさと納税をした場合、2月~3月に確定申告をした後、5月~6月に「住民税決定通知書」が届いてから、(1)+(2)の合計額を確認する必要があるということです。

住民税決定通知書に寄付金控除・税額控除額の記載がまったくない場合

住民税決定通知書に寄付金控除・税額控除額が記載されていない場合があります。過去には、ワンストップ特例でふるさと納税をするつもりですべての自治体にワンストップ特例申請書を返送したのに全く住民税から控除されていなかった人もいました。これは、うっかり5自治体を超えてふるさと納税してしまったためワンストップ特例が無効になったというケースです。ワンストップ特例申請書を不備なく返送していたとしても、6自治体以上に納税するとそれまで返送していたワンストップ特例はすべて無効になるため確定申告が必要です。

ワンストップ特例でふるさと納税したにもかかわらず、「住民税決定通知書」からまったく控除がない場合、ふるさと納税した自治体数を確認し無効になっていないか確認しましょう。

控除もれがあったらどうすればいい?

実際、控除にもれがあった場合、還付申告すれば控除してもらうことができます。期限はふるさと納税した翌年から5年間です。

■用意するもの
(1)控除もれのあった自治体のふるさと納税証明(紛失の場合、各市町村に再発行依頼できます)
(2)ふるさと納税した年の源泉徴収票(自営業であればその年の確定申告控え)

■還付申告の方法
(1)書類を作成する
まず「更正の請求書」を用意します。国税庁のホームページでダウンロード可能です。この「更正の請求書」に氏名、住所、更正の理由などを記入し「寄附金控除」の欄に控除もれのあったふるさと納税の金額を記入します。

(2)書類を税務署に提出する
マイナンバー、ふるさと納税の納税証明など必要書類を添付し「更正の請求書」を税務署に提出します。通常の確定申告と同様インターネットでも税務署に出向いて手続きすることも可能です。

提出後、所得税はおおよそ1~2か月後に還付され、住民税は翌年の住民税の減額によって控除されることが多いですが、受理されるタイミングによって減額の時期や方法が変わってきます。


なにもしなければ住んでいる自治体に払うだけの住民税ですが、ふるさと納税すればその土地の名産品を送ってもらうことができます。しかし、ふるさと納税をしても、税金が控除されていなければもったいないですよね。きちんと控除されているか確認して、安心してお得な制度を利用しましょう。

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