長崎バスと県営バス 「共同経営」へ協定締結 来年4月にもサービス開始

連携協定を締結し、協定書を手にする嶋崎社長(左)と太田局長(右)。中央は田上市長=長崎市役所

 人口減少や新型コロナウイルス感染拡大の影響でバス利用者が減少する中、長崎市内で路線バスを運行する長崎自動車(長崎バス)と県交通局(県営バス)は9日、バス路線の維持に向け、共同運行やダイヤ調整などを図る「共同経営」の導入に向けた連携協定を締結した。今後、具体策を盛り込んだ計画をつくり、2022年4月にもサービスを開始する。
 市は、人口減に伴い市内の路線バス利用者が35年に19年に比べ半減すると推計。さらにコロナ禍で悪化し、60%減少する可能性も指摘している。
 共同経営は独禁法の「不当な取引制限」(カルテル)に抵触する恐れがあったが、人口減が深刻な地方で乗客減に苦しむバス事業者を存続させるため、独禁法の適用を除外する特例法が20年11月に施行された。
 8月ごろ市が策定する市地域公共交通計画の方針に基づき、両者が共同経営計画案をつくり、市公共交通活性化協議会での意見聴取を経て、国に計画を申請する見通し。両者は「経営統合や合併は考えていない」としている。
 調印式で、長崎バスの嶋崎真英社長は「行政と交通事業者が持続可能な交通体系を築き、次世代に引き継ぐ必要がある。今回の締結は公共交通最適化につながる大切な一歩だ」と語った。県交通局の太田彰幸局長は式後の記者会見で、「バス事業者の現状を知ってもらい、課題に真正面から取り組みたい」と強調。同席した田上富久市長は「市民にとってプラスになる動き。調整役としての責務を果たしたい」と述べた。


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