国民の命と健康守れないなら五輪やらないと総理

 2年ぶりに「党首討論」が9日持たれたが、論戦にはならなかった。菅義偉総理への問いかけは全く「暖簾に腕押し状態」に終わった。総理が野党党首の質問に正面からの答弁をしなかったことによる。ただ、国民の命と健康守れないなら五輪はやらないと総理は改めて断言した。

 立憲民主党の枝野幸男代表は新型コロナウイルス感染症対策での緊急事態宣言など、解除が早すぎるとリバウンドが起きるとして「1日の新規感染者が東京で50人になるまで我慢すべき」と求めたが、菅総理はこれには答えず「コロナワクチン接種に全力をあげていきたい。接種に必要なワクチンは確保している。ワクチンは(コロナ対策の)切り札だと思っている」とした。

 そのうえで「今年10月~11月にかけては、希望する国民すべての人へのワクチン接種を終えるようにしたい」と語った。

 また五輪について菅総理は「一つ一つ対応しており、安全安心の大会にしたい。大きな困難に立ち向かい、世界が団結して乗り越えることができたということを世界に発信したい」などと述べた。

 五輪開催への菅総理の姿勢に対して枝野氏は「失われた命に政治は責任が取れない」と最大の警告を行った。

 日本共産党の志位和夫委員長は政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が「五輪・パラリンピックを開けば人流が増え、感染リスクが高くなるのはどう考えても、普通だ」と警鐘を鳴らしていること(全国から観客が競技会場に移動する、競技会場外でのイベントでの人流増、夏の4連休やお盆休みで感染を避けようと地方に人流増が起こる)などを取り上げたうえで「このような中で、なぜ五輪・パラリンピックを開催しなければならないのか。その理由は」と追及した。

 しかし菅総理は問いには答えず「国民の命と健康を守るのが私の責務だ。守れなくなったら(五輪・パラリンピックは)やらないのは当然だ、と言っている。それが(開催の)前提だ」と繰り返し強調した。(編集担当:森高龍二)

© 株式会社エコノミックニュース