国民の命と健康守れない状況の基準は総理示さず

 菅義偉総理は9日、党首討論後、記者団の質問に答え、コロナ禍でのオリンピック開催について「非常に強い思いがある。同時に、私、パラリンピック、正に57年前の大会で初めてパラリンピックという名称が付いた。それによって、障害者のスポーツをやっている方にとっては、正に大きな歴史の1ページだったという話も伺った」と強調。

 菅総理は「障害者の皆さんが社会に出てみよう、共生社会を実現していく、そういう大きな契機になったということであったので、今のパラリンピックで活躍する皆さん、様々な思いがあると思ったので、そうしたことも大事だと思った」と五輪・パラリンピック開催の意義をアピールした。

 また、党首討論では「野党の皆さんの質問に答え、国民の皆さんが最も関心があるだろう新型コロナ対策、東京オリンピック・パラリンピックについて、私の考え方を丁寧に説明させていただけたと思っている。これからもしっかりと説明していきたい」と語った。

 しかし、菅総理は新型コロナウイルス感染症のリバウンドを防ぐために、緊急事態宣言の解除について「東京では1日あたりの新規感染者が50人になるまで我慢を」と立憲民主党の枝野幸男代表に求められても、正面から答えず「ワクチンは(コロナ対策の)切り札だ。コロナワクチン接種に全力をあげていきたい。接種に必要なワクチンは確保している」と50人以下になるまでの提案からは逃げた。

 菅総理は五輪開催に関しても「一つ一つ対応しており、安全安心の大会にしたい。大きな困難に立ち向かい、世界が団結して乗り越えることができたということを世界に発信したい」とし、共産党の志位和夫委員長から「このような中でなぜ五輪を開催しなければならないのか」と理由を問われて「国民の命と健康を守るのが私の責務だ。守れなくなったら(五輪・パラリンピックは)やらないのは当然だ、と言っている。それが(開催の)前提だ」と答えたが、それがどのような状況を基準として判断するのか、具体的根拠は示していない。(編集担当:森高龍二)

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