遠隔手話通訳サービス開始 聴覚障害者の不安解消へ 佐世保

 長崎県佐世保市は、聴覚障害者のコミュニケーションの支援を強化するため、遠隔手話通訳サービスを始めた。スマートフォンなどのビデオ通話アプリを使い、通訳者が聴覚障害者と健聴者を仲介。緊急時の対応も可能になり、生活上の不安解消につなげる。
 新型コロナ禍は聴覚障害者のコミュニケーションを難しくしている。対面する相手の口元や表情は言葉を理解する大事な要素だが、マスクの着用で口元が見えなくなった。さらに感染防止の観点から通訳者の同行を断る施設もあるという。
 サービスは、聴覚障害者が出先で健聴者とコミュニケーションをとるのを可能にする。登録した聴覚障害者のスマホなどと、市障がい福祉課に設置しているタブレット端末をLINE(ライン)のビデオ通話でつなぎ、市の専任手話通訳者らが仲介。聴覚障害者がスマホに向かって手話をすると通訳者らが言葉にして健聴者に、逆に健聴者の言葉を手話にして聴覚障害者に伝える。筆談よりもスムーズなコミュニケーションが期待される。
 サービスは予約なしで利用でき、緊急時の対応も可能。同課によると、体調が悪い聴覚障害者が、病院に電話するよう市にメールで依頼したケースがあったが、どういう症状があるのかなど市が状態を把握するまでに時間を要した。サービス開始でこうした問題の解消も期待され、市のろうあ者相談員、武富愛さんは「安心感が違う」と説明。既に利用した人は目に涙を浮かべて喜んだという。
 今月1日のサービス開始以降、24人(8日時点)が登録。平日の市役所の開庁時間(午前8時半~午後5時15分)に利用できる。事前登録が必要。問い合わせは市障がい福祉課(0956.24.1111、内線5104)。

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