消防庁が予防業務の優れた取り組みを表彰する「予防業務優良事例表彰」で、上越地域消防局が開発した「外国人対応消防指導教材映画『To Save Lives~国境を越えて~』」が消防庁長官賞を受賞した。
消防庁長官賞には全国47団体から5団体が選出された。一昨年の火災調査シミュレーションアプリに続く受賞で、10日、上越市役所で管理者の村山秀幸市長から、関係者への伝達表彰と管理者表彰が行われた。
近年のインバウンド観光隆盛により、上越地域消防局管内のスキー場を訪れる外国人観光客と、外国人経営の宿泊施設が増加する中、言語の壁を越えて日本の消防法への理解を深めてもらうツールが模索されてきた。
映画では小規模ホテルの火災を通じ、さまざまな外国人宿泊客が支配人夫妻の指示の下、協力して避難するまでが描かれ、全編英語のナレーション入り、日本語と英語の字幕が選択できる。
審査委員からは地域の特性を踏まえつつ、エンターテインメント性の高い内容や、管内の宿泊施設を経営する外国人向け訓練、長野県の消防本部との合同訓練や、地元中学校での英語防災教育への活用なども評価された。
10日の式で村山市長は「ストーリー仕立てで引き込まれ、自ら学びたくなる内容」と絶賛し、「これからも焦らず着実に、火災予防の広報を続けてほしい」と激励した。
製作に当たった同消防局予防課の入村宗消防司令は「火災調査シミュレーションアプリに続いての受賞。消防だけでなく、ホテルや観光関係からも映画への問い合わせがきている」。今後は希望する団体や町内会向けの上映も検討しており、「地域の期待に挑戦し、応えるのが自分たちの使命だと思っている。消防のモチベーションアップや、地域の安心につなげていきたい」と語った。
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