基地従業員にコロナワクチン接種 政府が在日米軍と合意

 【東京】防衛省は10日、新型コロナウイルス感染症対策として、在日米軍基地で勤務する日本人従業員へのワクチン接種を米軍が速やかに実施することで在日米軍と合意した。職場内の掲示板などを通じて周知し、順次接種が始まる。希望者を対象としたもので、日本政府と在日米軍は接種を希望しない従業員が「(未接種を理由に)不利に扱われることがない」との認識で一致した。

 国内では高齢者や医療従事者などを対象とした優先接種が進められている段階で、若手従業員も含めた接種を始めることになる。米軍人への接種が進む中、日本人従業員の接種が進まないことへの米側の不安が背景にあるとみられる。

 ワクチン接種を担うのは日本の資格を持たない米側の医療従事者が担うことになるとされ、国内では異例だ。米側はすでに軍人などへの接種を進めており、今回対象となる従業員も米側の枠組みに基づき、米軍施設・区域内の病院などで実施する。接種場所や日時は米側が従業員へ伝える。

 在日米軍による接種は日本の予防接種法に基づくものではない。このため、副反応が出た際の救済措置は米側の類似制度を適用する。米側の仕組みは重篤な障がいや死亡時の救済が対象となるといい、日本側の制度とは違いがある。

 防衛省は副反応が生じた場合、個人加入の保険を使うことや、場合に応じて金銭面を含めた「何らかの手当て」を検討するとした。

 米側での接種に接種券はいらない。一方、二重接種の懸念があるため、防衛省は2回受ける接種のうち1度目を自治体で受けた人は2回目も自治体で、米軍制度で受けた人は2回目も米側で受けるよう求めた。

 ワクチンはファイザー、またはモデルナ製を使う。

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