フランス発『トヨタ・ヤリス・ラリー2キット』参上。ERC開幕戦でライバル勢と対決へ

©株式会社サンズ

 サーキット系カテゴリーと同様に度重なるカレンダー改訂を経ながらも、6月18日~20日の週末にラリー・ポーランドでの開幕を予定する2021年のERCヨーロッパ・ラリー選手権。その新シーズンに向け、フランス出身のヴィクトル・カルティエが自作の“Rally2-Kit”を装着する『トヨタ・ヤリス・ラリー2キット』での参戦を表明。ERC2クラスにエントリーし、スズキのスペイン法人であるスズキ・モーター・イベリカが投入予定の『Swift R4lly S(スイフト・ラリーS)』や、マティアス・エクストローム率いるEKS JCが開発した新型『アウディA1クワトロ』らと相見えることとなった。

 2015年に初代トヨタ・ヤリス(日本名ヴィッツ)でキャリアを開始した24歳のカルティエは、このERCへのステップアップが「他のラリー2キットカーと比較するための最良の方法だ」として、自らの愛機を試す場としてセレクトした。

「もちろん、フランスにはターマックとグラベルの双方で、とてもレベルの高いドライビングを要する美しいチャンピオンシップがある」と語ったカルティエ。

「それでもERCを選んだのは、複数のラリー2キット車両が競合していて、同じカテゴリーのマシンと比較するのに最適な方法だからさ。それは僕自身にとってもラリーストとして進歩し、まるで異なるラリーや国を発見するための素晴らしい方法でもあるしね」と続けたカルティエ。

 このラリー2キットの規定は、FIAが提唱する新たな車両区分に基づき、2輪駆動となるR2、R3規定車両と、共通パーツを使用する4WD車両のR5規定モデル(現ラリー2)との間を埋める存在として誕生した。

 このキットカーは、現ラリー2モデルよりわずかに出力が抑えられた263PS/382Nmの1.6リッター直列4気筒直噴ターボを搭載し、5速シーケンシャルギアボックス、ラリー2(R5)用のリヤデフ、一体型トランスミッションで構成されるユニバーサルキットを中心に構築される。

 その点に関して、ERCに『トヨタ・ヤリス・ラリー2キット』を投入する決断を下したカルティエは「僕の最初のラリーカーが、初代トヨタ・ヤリスだったことが大きい」と、その車種選択の理由を説明する。

2015年に初代トヨタ・ヤリス(日本名ヴィッツ)でキャリアを開始した24歳のカルティエは、自らの手でRally2-Kit装着車を仕立てた
2021年のERC2クラスには、スズキのスペイン法人であるスズキ・モーター・イベリカが製作した『Swift R4lly S(スイフト・ラリーS)』らも参戦を予定する

■すでに数日間のテストを行い、仕上がりは上々

「ドライバーとして進化する方法を模索してきたけれど、僕にラリー2車両をレンタル……または購入する余裕はなかった。僕が採り得るもっとも信頼できる方法は、このラリー2キットだったんだ」と続けるカルティエ。

「機械設計の工学研究を終えたばかりだったので、自分のクルマ、それもユニークでオリジナルなクルマを設計し、製造するというアイデアだ。それにヤリスの選択は僕にとって自然なことだったよ」

 地元フランスのミシュランや、サスペンション・ブランドのDONERRE(ドネア)から支援を受け、すでに数日間のテストを経験したカルティエとトヨタ・ヤリス・ラリー2キットだが、オリジナル車両ながらその仕上がりは上々だという。

「クルマのハンドリングはすでにとても快適だよ。全輪駆動のドライブを学ぶのには最適だね。ドネアは僕のトヨタ・ヤリスのために非常に良いショックアブソーバーを開発してくれたんだ。そしてミシュランの性能はクルマの可能性を高めてくれる」とカルティエ。

「運用コストはラリー2より確実に安く抑えられるが、規定による性能差で顕著なのがエンジンの出力面だ。だからこそ、ショックアブソーバーが違いを生むことを願っている」

 コドライバーのファビアン・クレーンとともに第77回を数える開幕戦ラリー・ポーランドからERC2への挑戦を開始するカルティエは、2021年シーズンの全8戦に挑む計画だ。

「それは僕たちにとって大きな挑戦だけど、今季の主な目標はERC2のタイトルを獲得すること。非常に野心的だけど、進歩するには高い目標を設定する必要があるからね。夢はプロの世界ラリー選手権ドライバーになることであり、それを実現するために必要な努力を続けていくよ」

「ドライブする時間以外も、クルマの改善作業に費やしてきた」と語ったヴィクトル・カルティエ
『トヨタ・ヤリス Rally2-Kit』は、6月18日〜20日のERC開幕戦ラリー・ポーランドにてデビュー戦を迎える