【生理前に頭が痛い】PMSによる頭痛を改善する簡単な方法を薬剤師が紹介

多くの女性はその頭痛がPMSだと気づいていない

PMSによる頭痛を経験している女性は多い

女性の生理前に起こるさまざまな不調のことをPMS(月経前症候群)といいます。
PMSは生理の3~10日前から始まり、生理の開始とともに自然に症状が軽くなったり、なくなったりする特徴があります。

PMSの症状としては、身体的な症状の「胸の張り」「腹痛」「頭痛」や、 心理的な症状の「イライラ」「不安感」などがあります。

なかでも「頭痛」は、つらい症状です。
実際に、生理前に頭痛を経験している女性は少なくありません。

これからお伝えする、舞さん(仮名・34歳)も、頭痛に悩まされてきた女性の1人です。

PMSの頭痛がつらくて頭痛薬が手放せない

【舞さんのエピソード】

デスクワーク中心のお仕事をされている舞さん。普段から運動や毎日の入浴など、健康に気を使っているそうです。
しかし、それでも周期的に頭痛がやってきてつらいと、ご相談がありました。

「つい先日、仕事での通話中に頭痛に耐えきれず、こちらから一方的に切電してしまったんです。これには先方もカンカンだったようで…あとから上司に呼ばれ、『雑な対応しただろ』と怒られてしまいました」

「どんなにからだに気を使っても、頭痛だけはどうにもならなくて。普段から薬を持ち歩き、頭痛が起こったときは市販の頭痛薬でどうにかやり過ごしています」

話をさらに聞くと、舞さんの頭痛は生理前に頻繁に起こることがわかりました。原因はPMSだったのです。
実は、舞さんのように、自分で頭痛の原因がPMSだと認識していない女性は多いです。

どうして生理前に頭痛が起こるの?

PMSが起こる原因は、女性ホルモンの分泌量の急激な変動のためだと考えらえています。生理前の頭痛は、とくにエストロゲンが関係しているとされています。

エストロゲンは排卵から生理前にかけて大きく減少します。このとき、エストロゲンの急減に伴ってセロトニン(血管を収縮する作用がある脳内物質)が減少します。このセロトニンの減少により、脳内血管が拡張することで頭痛が起こるといわれているのです。

PMSによる頭痛は、通常の片頭痛よりも症状が長く続き、痛みが強い傾向があります。

これでPMSの頭痛の悩みは和らぐ!対処法4選

次に、PMSによる頭痛を予防する方法をご紹介します。

【1】寝不足・寝すぎに注意!

ストレスや疲れはPMS頭痛を悪化させます。
日頃からしっかり睡眠をとり、疲れをためないようにしましょう。またホルモンや自律神経のバランスを整えるためには、寝すぎもよくありません。
日頃から質の良い睡眠をとることを心がけましょう。

【2】人混みや強い光を避ける

強い光や騒音、空腹、ニオイなどの刺激は、頭痛を引き起こす原因となります。
外出の際は、人混みを避ける、サングラスをするなどし、刺激をできるだけ回避しましょう。

【3】サウナやマッサージなどはしない

PMSによる頭痛は血管の拡張により起こります。そのため、サウナやお風呂、マッサージなどで血流が促進されると、血管が拡張し、頭痛が悪化してしまいます。

血流を抑制すると痛みの緩和が期待できますので、頭痛が起こったら、痛む部分を保冷剤などで冷やしたり、こめかみを押さえたりしてみましょう。

【4】漢方でPMSの頭痛改善を目指そう

「PMSによる頭痛を根本から改善したい」
そんな方には漢方薬で体質改善をめざす方法がおすすめです。

漢方においてPMSは「肝(かん)」の機能失調です。
漢方でいう肝とは、全身の「気(き)」や「血(けつ)」などの流れのバランスを調節している場所のことです。

肝の機能が低下すると、「気の滞り」が起こります。全身に気が行き渡らなくなり、「おなかが張った感じ」などの身体的症状や、「イライラ」などの精神的症状があらわれます。
また血の滞りも起こり、「ニキビ」などの身体的症状があらわれます。

このようなPMSによる不調に効果的な漢方薬は、いくつもあります。漢方薬は、一般的に副作用が少ないといわれています。

漢方では、全身のバランスの乱れから不調が起こると考えます。つまり、乱れたからだのバランスをととのえることで、健康へと導くのです。
根本から体質改善を目指せる漢方薬は、PMSなどの慢性的な症状に悩む方にはおすすめです。

■生理前の頭痛でお悩みの方におすすめの漢方薬

  • 桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
    比較的体力があり、下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足が冷える方におすすめです。滞った「血」のめぐりを良くし、熱のバランスを整えることで、のぼせや冷えを改善します。また、ホルモンのバランスを整える効果も期待できるので、生理前の頭痛にも用いられます。
  • 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
    体力虚弱で、冷え症、貧血がある、疲労しやすい方におすすめです。全身に大切な栄養素を与え、血行を良くするのと同時に、水分代謝を整えることで余分な水分をからだからとり除き、頭重、足腰の冷え症や生理不順を改善します。
  • 桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)
    体力中等度以上で、のぼせて便秘しがちな方におすすめです。からだの「気」「血」の流れを良くして、頭痛、月経痛やのぼせなどの症状を緩和します。

漢方薬は体質や症状に合っていないと効果が出にくくなり、副作用が生じる場合もあります。そのため漢方薬を選ぶ際は、漢方に精通した薬剤師の力を借りるのがおすすめです。

オンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。
AI(人工知能)を活用した漢方のプロが、個人に効く漢方薬を見極めて自宅に郵送してくれる「オンライン個別相談」が便利です。

PMSの頭痛をスッキリさせて、いつもと変わらない日常を送ろう

頭痛と生理の関係がわかれば、日々の生活に気を使うことで、PMS頭痛は改善できるでしょう。また根本から不調が起こりにくい体質を目指したい方は、漢方薬を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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