横浜FC中村俊輔、復活を期す25年目 400試合出場達成

J1通算400試合出場を達成した横浜FCの中村=クラブ提供

 J1横浜FCのMF中村俊輔(42)が本職の攻撃的なポジションに戻って復活を期している。2日の川崎戦では史上27人目のJ1通算400試合出場を達成。プロ25年目の大ベテランは「鳥かごから出してもらった。自分のプレーを取り戻している感じ」と語り、低迷するチームを押し上げる気概を見せている。

 中村は左太もも裏の肉離れから約2カ月ぶりに戦列復帰。川崎戦の後半途中にトップ下で出場し、節目の大記録に到達した。「長くできているのはいろんな人のおかげ。またいいプレーをしたい気持ちが湧いてきた」と実感を込める。

 2019年の加入後は守備的MFとして起用されることが多かったが、4月に就任した早川知伸監督(43)は「前のほうで自由に動いて違いを見せてくれたほうが見ていて楽しい」と1列前でゲームメークを託す。

 チームは今季1勝にとどまり、20チーム中の最下位で中断期間に入った。J2降格が現実味を帯びる中、低迷脱却の鍵に中村が掲げるのが「危機感」だ。

 思い返すのは、残留争いに巻き込まれていたイタリア・セリエA時代。当時所属していたレッジーナでは、アウェー戦での引き分けでも帰りの飛行機で大喜びし、ホームで負ければ合宿所に缶詰めにされて帰宅を許されなかったという。

 「みんな死に物狂い。守備では点を取られないように亀の甲羅のようになって、速攻にいくときは火事場のクソ力だった」と振り返り、「体を動かすのはメンタル面なので危機感を持ってやるしかない」とチームの現状に重ね合わせる。

 もちろん、その先頭に立つ覚悟はある。かつて日本代表で一時代を築いたレフティーも6月24日で43歳になるが、「選手である以上、年齢は関係ない」ときっぱり。

 リーグ戦は19日に再開する。「自分のプレーで打開したいし、しないといけない。味方にいいプレーをさせて自信をつけて、勝ち点に貪欲な雰囲気にするのが理想」と中村。長いシーズンはまだ折り返し地点。観衆を魅了するプレーで「ファンタジスタ」と形容されてきたベテランMFが苦境のチームを救おうとしている。

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