【エプソムC】激レア!調教採点「9」の本命馬を打ち破ったアメリカンボス

前年に続きエプソムCを連覇したアメリカンボス

【松浪大樹のあの日、あの時、あのレース=2000年エプソムC】

東京スポーツの確定面に掲載されている今週の調教時計とその採点。馬柱の下にペロンと付けられているアレのことですが、重宝している方は重宝してくれているみたいですね。ありがたいことです。ただ、これに関する注釈がゼロということもあってか、たまに「あれって平均は何点なの?」なんて質問をされるんです。なので、ここで改めて発表しましょうね。あれの平均は6点。「なんて中途半端な…」と感じたかもしれませんが、平均は10点満点中の6点です(苦笑)。

現在、栗東のウッドコースは〝西の分析官〟こと岡崎記者が全頭の採点をしてくれています。僕はノータッチ。彼が来る前は林記者(現在はボート担当)が担当してくれていたので、僕が採点をしていたのはそれ以前になりますね。「平均以上の馬は7点、特筆すべき動きをした馬は8点」が東スポグループの共通見解。

もちろん、担当者の裁量にもよるところが大きくて、現担当の岡崎記者が8点を付けることは非常にまれです。しかし、僕は結構な頻度で付けていました。適度なメリハリを付けたい…が理由だったんですけど、これも個人の考え方ひとつでして、何が良くて何がダメということはありません。ひとつ言えることは登場回数の少ない現在のほうが、ウッドの8点は価値が高い。それは間違いないということです。

そんな8点よりも上の9点というトンデモナイ点数を付けたことが過去に一度だけあるんです。いや、2回だったかな?

ここらへんの記憶は曖昧なんですけど、一度目だけはハッキリと覚えていて、それが2000年のエプソムC。対象馬はトゥザヴィクトリー。ええ、そうです。驚いたことに負けたんです(4着)。それもいつもの負けパターンのようにあっさりと(苦笑)。

調教駆けするタイプでしたし、馬体のシルエットも素晴らしくきれいで、そのフットワークもダイナミック。以前から8点の常連だったトゥザヴィクトリーですが、8か月の休み明けで挑んだこのときこそが、過去にないほどの素晴らしい動きに僕には見えたんですよね。どうしてなのかな?

確かに3歳シーズンはベストの状態で出走することが少なく、他との比較では上位かもしれないけれど、さらに上のレベルがあるはずなのに…と思い続けてはいました。その反動? いや、本当に素晴らしい動きに感じたんですけど。正直、手応え十分で直線を向いたときは楽勝したな、と思いましたから。まあ、それはトゥザヴィクトリーのレースで感じることの多いパターンではあったんですが…。

その2000年のエプソムCを勝った馬こそがアメリカンボス。もちろん、トゥザヴィクトリーの伸びあぐねる姿だけが頭に焼き付いている僕の記憶に同馬の雄姿はありません。ゆえに字で説明することもできません。彼の雄姿は写真で確認してくださいね。おそらくは見出しの下に掲載されているでしょうから。

ちなみに栗東の坂路を担当しているピッカリこと清水記者。彼も10年以上は坂路担当&調教採点をやっていますが、9点を付けたのは2回のみだとか。

片方は2009年レッドディザイアのオークス(ブエナビスタの2着)。これは正解と言えば正解。ですが、もう一つの2007年きさらぎ賞のオーシャンエイプスは…。単勝1・3倍で4着は明らかに失敗でしょう。確かに攻め駆けするし、見栄えもする。しかも、管理していた石坂正厩舎は基本的に時計が出ない厩舎で、好時計をマークする馬って高い確率で出世するんですよ。アストンマーチャンとか、ジェンティルドンナとかが代表例。そんな背景もあって行っちゃったんでしょうね。まあ、僕も欺かれたクチなので大きなことは言えませんけど(苦笑)。

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