武田修宏氏がセルビア戦を辛口ジャッジ “エース依存症”からの脱却法は?

FWオナイウ阿道(左)は奮闘したが…

ヒントは“師匠”のサッカーにあり――。日本代表は11日の国際親善試合セルビア戦(ノエスタ)に1―0で勝利した。欧州の格上に勝利したとはいえ、かねて課題と指摘されていた、FW大迫勇也(31=ブレーメン)不在時の物足りなさを露呈。“エース依存症”ぶりは変わらないままだが、元日本代表FWで本紙評論家の武田修宏氏(54)は、誰が代役を務めるのかではない「別の視点」から解決法を提言した。

今月の代表活動で最も国際サッカー連盟(FIFA)ランキングが高い25位(日本は28位)の相手から勝利をつかんだ。0―0の後半3分、MF鎌田大地(24=Eフランクフルト)の右CKからDF谷口彰悟(29=川崎)の頭を経てMF伊東純也(28=ゲンク)が右足で合わせて先制に成功。この1点を守り切った。森保一監督(52)は「課題はあるが、強度の非常に高い中、選手たちが今やれるベストなことを表現してくれた」と一定の手応えを口にした。

この日はFW大迫が負傷離脱したため、1トップではFW古橋亨梧(26=神戸)が先発し、後半はFWオナイウ阿道(25=横浜M)が務めた。ともに無得点だったが、追加招集でチャンスを得たオナイウが躍動。後半19分にはカウンターから左サイドでフリーとなりネットを揺らすが、オフサイド判定でA代表デビュー弾は幻となった。それでもDF長友佑都(34=マルセイユ)は「体を張ってポストプレーしたし、すごくいいプレーだったと思う」と絶賛した。

一定の収穫はあったものの、相手がベストメンバーではなかったことを踏まえて、武田氏は特に攻撃面に厳しいジャッジを下した。

「大迫の他にセンターFWが見つかっていない。以前から言われていることだけど、改めて認識させられた。セルビアは強豪とはいえ、ベストのメンバーでなかったし、もう少し点を取れていたはずなのに、セットプレーからの1点しか取れなかったのは物足りない」

では、この日のオナイウをはじめ、今回は招集外のFW鈴木優磨(25=シントトロイデン)ら代役候補たちの成長を待つしかないのか。武田氏はこう持論を展開した。

「大迫のような1トップタイプを置かないことも考えてほしい。MF鎌田をトップ下に置いて、MF南野拓実(サウサンプトン)、MF原口元気(ウニオン・ベルリン)らが2人、3人と連動して崩していけば、ノートップでも点を取れるのではないか」

イメージはJ1札幌に近いという。「昨夏にFW鈴木武蔵がベルギーのベールスホットに移籍した後、1トップタイプを置かずにチームのコンビネーションで点を取っている例もある」。ミハイロ・ペトロビッチ監督(63)が広島で指揮を執っていたときに、森保監督はコーチを務めていた。それだけに、すぐにでも試すことのできるノウハウを持ち合わせているというわけだ。

森保ジャパンは、いわゆる「ゼロトップ」を採用したことはないが、カタールW杯アジア最終予選へ向けて大迫頼みから脱却の切り札となるのか注目だ。

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