巨人電撃復帰の山口俊 “再出発”会見で何度も繰り返した「結果」に込めた意地

ブルージェイズ入団会見当時の山口俊【写真:Getty Images】

背番号99&黒髪で再出発「結果しかないと思っている」

巨人は米大リーグ、ジャイアンツ傘下3Aサクラメントから自由契約となった山口俊投手との契約に合意し、11日にリモートで入団会見を行った。2019年以来、2年ぶりの巨人復帰となる。会見で何度も口にした「結果」という言葉、背番号を「99」に決めた経緯に、山口の思いが滲んでいた。

2020年、米国時間1月15日。山口は入団の決まったブルージェイズの本拠地、トロントのロジャース・センターで行われた会見で、背番号1のユニホームを披露した。選んだ理由は「まず背負っていたのが『11』ということで『1』を大事にしたかった。高校野球では『1』がエースナンバーということで選ばせていただきました」。1が無ければ、道は続かない。地道に一歩ずつ、夢への階段を昇っていく。そんな決意の表れだった。

今回、山口が選んだのは「99」。球団から提示されたのは「28」だった。山口は「特に意味はないです」と多くを語らなかった。だが、大塚球団副代表は「28番で決まるのかなと思ったら、たぶん、自分で空き番号を調べて99番と言ってきた。もう一回、出直しというか、改めて勝負したいという気持ちを感じました」と気概を受け取った。

ブルージェイズの「1」とは“正反対”の「99」。髪の毛も黒に戻し、心機一転。ここから、もう1回、這い上がる――。番号はそんなメッセージとも取れる。

巨人とは来季までの2年契約を結んだ。「前回、ポスティング(システム)で快く、送り出してくださいましたし、今回も僕にご連絡をいただいたので、今度は僕もジャイアンツに貢献できるよう、結果でなんとかしたい。結果しかないと思っている」と迎え入れてくれた古巣に感謝した。

「結果」で周囲を黙らせる、そんな活躍を期待したい

自分の目標とするMLBの登板は今年、叶わなかった。だが、それでも夢を追い、得られたことは大きい。シーズン途中、志半ばで戻ってきたことに様々な見方があるのも確かだ。だからこそ、何度も「結果」という短い言葉を発したところに、山口の意地を見た。

2019年に先発として最多勝、最高勝率、最多奪三振の投手3冠。5年ぶりのリーグ優勝に貢献したこの成績に注文をつける余地はない。昨季はブルージェイズで17登板で2勝4敗、防御率8.06。2月に自由契約となり、その後、ジャイアンツとマイナー契約。3Aでは5登板し、0勝3敗、防御率は6.17だった。米国では思うような「結果」は伴わなかった。

だからこそ、日本球界に帰ってきた山口は結果で周囲を納得させるしかない。数字だけでなく、首位・阪神を苦しめるような投球を、チームに勢いがつくパフォーマンス、投手陣を支える存在にならなくてはならない。会見で繰り返した短い言葉にそんな覚悟を汲み取った。

帰国直前、3Aではマイナーの週間MVPを受賞した。体の状態はいい。自信を持って、古巣へ戻る。

「これからの人生で経験、体験できないことを学べました。また、違った野球観を、他の選手が聞いてくれたら伝えていきたいなと思います。優勝が一番の目標。しっかり貢献できるようにという気持ちが大きいです」

滞在が長い、短いは関係ない。アメリカで過ごした時間は無駄ではなかった。そう思わせるような背番号99の躍動を今度はグラウンドで見られる日を楽しみに待ちたい。(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

© 株式会社Creative2