京都市、ごみ収集職員の高齢化が顕著 不祥事相次ぎ採用凍結響く

ごみ収集業務を担う職員の高齢化が顕著になっている京都市のまち美化事務所。民間委託と直営のバランスが問われる(京都市北区・北部まち美化事務所)

 京都市で、ごみ収集業務を担う職員の高齢化が顕著になっている。半数を50代が占めるなど年齢構成の偏りが激しい。相次ぐ不祥事を受けて長らく採用を凍結してきたためだが、現場では仕事のノウハウを継承する若手がおらず、士気の低下が懸念されている。市は2022年度、9年ぶりに新規採用を始める方針を示している。

 ごみ収集に従事するのは環境政策局の「技能労務職」。多くは市内に7カ所あるまち美化事務所で、家庭ごみの収集業務に携わっている。職員数は06年度に999人だったが、右肩下がりで減少を続け、21年度は半分以下の417人にまで減った。

 背景にあるのが、06年度に多発した不祥事だ。同年度に覚醒剤使用などで逮捕された市職員13人のうち、10人が技能労務職だった。市は「信頼回復と再生のための抜本改革大綱」で採用時や採用後の指導における甘さを認め、07年度から退職者の不補充による職員の削減を始めた。

 一方、ごみ収集業務は引き続き必要なことから、市は民間委託を押し進めた。ごみ収集を担う人員のうち民間の割合を示す委託率は06年度に26%だったが、15年度には目標としていた50%を達成。21年度はさらに伸びて63%となり、「24年度に7割」という次の目標達成も見えてきた。

 そんな中、技能労務職のモチベーション低下も課題となっている。新規採用を抑えた結果、417人中、50~60歳が208人と半分を占め、40代の190人と合わせると9割を占める。30代は18人、20代にいたってはわずか1人だ。

 技能労務職の40代の男性職員は「そもそもルーティン仕事である上、若手がいないと緊張感が保てない。仕事に前向きになれない人も多い」と声を落とす。民間委託が進む中、「いずれ違う部署に任命替えになり、慣れない仕事をしないといけなくなるのでは」との不安もあるという。

 市は5月25日の市議会文化環境委員会で、来年度から5人程度の採用を始めると明らかにした。年代の不均衡を受けて試行的に行った12、13年度以来、9年ぶりの採用となる。一方、財政難を受けて委託化は引き続き進める方針で、27年度に75%を目標としている。

 ただ、市まち美化推進課は「100%民間委託している自治体では災害時に民間が稼働できず、すぐに収集に行けなかったと聞いている」とし、「非常時に対応できる必要な直営体制は維持する」との方針だ。

 また委員会では行財政改革の一環で、来年度に北部まち美化事務所(北区)と東部まち美化事務所(左京区)を統合する計画も示された。事務所の運営経費や人件費など約9千万円のコスト削減を見込んでいるという。

 

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