桃太郎ジーンズ児島味野本店 〜 ジーンズの魅力が味わえる店舗へリニューアルオープン

江戸時代に綿花の産地として栄えた倉敷市児島の歴史は、ジーンズの聖地として現代に受け継がれています。

ジーンズを扱うアパレル店が並んだ味野商店街はジーンズストリートの名前で知られており、全国的にも珍しい衣類専門の観光地です。

桃太郎ジーンズ児島味野本店」は、ジーンズストリートが発足した2010年から続いている店舗で、ジーンズストリートの名前を全世界に広めるのに貢献してきました。

2021年4月27日に、株式会社JAPAN BLUE(ジャパンブルー)が展開する国産ジーンズブランド「桃太郎ジーンズ」の15周年を記念して、桃太郎ジーンズ児島味野本店がリニューアルオープン。

JAPAN BLUEの広報室に、新しくなった店舗の見所桃太郎ジーンズ児島味野本店の歴史について教えてもらいました。

新しく生まれ変わった桃太郎ジーンズ児島味野本店の魅力を紹介します。

リニューアルした「桃太郎ジーンズ児島味野本店」の紹介

入口の見所

新しくなった桃太郎ジーンズ児島味野本店には、入口から注目すべき点がありました。

入口周辺の青い壁には、デニム生地が壁紙として利用されているのです。

JAPAN BLUEが独自開発した「シンデニム」という色落ちしにくい特徴を持つ素材が使われています。

入口の扉に向かって右手に展示されているのは、藍が作る色の多様性を表現した糸です。

白から始まり、薄い青から濃い青に向かう変化が美しい。

天然の藍にはさまざまな色があり、藍の美しさを視覚によって楽しめる工夫がされています。

店内のようす

販売フロア

店内にはJAPAN BLUEが展開するブランド「桃太郎ジーンズ」の商品が並んでいます。

従来の店舗に隣接していた古民家を改装して、売り場面積を約150平方メートルから約300平方メートルへ拡張。

ゆったりとした空間で、上質な商品をお客さんに届けたいという思いから売り場を広くしたそうです。

商品の取り扱い数も、約3,600点から約4,000点に増えています。

ディスプレイ

店内でもっとも目を引くのは、赤い壁を背に整列しているジーンズです。

ジーンズの青と対照的な赤が背景として使われており、ジーンズが際立って見えます。

シルエットの異なるジーンズが展示されていて、ジーンズのデザインの豊富さを目で楽しめるのです。

ジーンズの特徴は、使用回数が増えるにつれて味わい深い雰囲気が現われること。

店内にはジーンズの経年変化を感じ取れるように、数年間 着用されたジーンズが展示されています。

織機

広くなった店内には、デニム生地を製作するための織機が設置されています。

店内の装飾として設置されたのではなく、実際に使用されているもの。

平日には、職人がデニム生地を手作業で製作するところが見られるそうです。

上質な商品を手に取ってもらうだけでなく、実際の製造工程を見せることで、商品が持つ背景をお客さんに伝えています。

店舗の外のようす

店舗正面

従来の店舗は昭和初期に建造された郵便局舎でレトロな雰囲気を残しており、拡張部分の古民家は和を感じさせつつも洗練された印象を与えています。

画像奥が郵便局舎、手前が古民家

店舗の前には、マスコットキャラクターの桃太郎が店番をしていました。

桃太郎と一緒に写真を撮影するお客さんも多く、人気を集めているそうです。

外装にもこだわりを見つけることができます。

建物の壁には、桃太郎ジーンズのトレードマークである二本線が大胆にも刻まれているのです。

裏庭

店舗の反対側に回ると、かわいらしい庭があります。

味野商店街のお祭りなど地域のイベントで活用してもらい、地域に根付く場所になりたいという思いから作られたそうです。

2021年5月にはマルシェイベントである晴庭マルシェが開催され、ジーンズストリートを訪れる人たちで賑わいました。

カフェ「café JAPAN BLUE GARDEN」

店舗の入口に向かって右手には、カフェである「café JAPAN BLUE GARDEN(カフェ ジャパン ブルー ガーデン)」が併設されています。

ジーンズ店ならではの食べ物として、藍を使用したお菓子や飲み物を提供。

バームクーヘンや、藍(あお)いレモネードなどが楽しめます。

桃太郎ジーンズ児島味野本店の歴史

ジーンズストリート

ジーンズストリートは、児島を日本初のデニム発祥の地として盛り上げることを目的に、2010年にスタートしました。

それまで、児島には縫製工場や染色工場が点在していましたが、ジーンズを購入する場所が少なかったそうです。

また、国指定重要文化財「旧野﨑家住宅」を起点とした味野商店街は児島でもっとも栄えた通りでしたが、2010年には閑散とした状況となっており、商店街の活性化が求められていました

そこで、児島で作られたジーンズ児島で手に取って楽しめるように、ジーンズストリートは始まったのです。

2021年現在、ジーンズストリートにはジーンズを扱う約40のアパレル店が並んでいます。

ジーンズの聖地として全国的な知名度を持つようになり、年間約30万人が訪れる観光地にまで成長したのです。

桃太郎ジーンズ児島味野本店の歴史

桃太郎ジーンズ児島味野本店は、JAPAN BLUEが展開する国産ブランド「桃太郎ジーンズ」を取り扱う、初の直営店舗として2009年に営業を始めました。

その後、2010年にジーンズストリートが発足し、通りに並ぶジーンズ店は3店舗に。

桃太郎ジーンズ児島味野本店は、ジーンズストリートの歴史を最初から築いてきた店舗なのです。

2015年と2017年には、桃太郎ジーンズの名前が多くの人に知られるきっかけとなる出来事がありました。

当時の内閣総理大臣 安倍晋三さんが演説において、日本由来のコンテンツを世界に発信する施策「クールジャパン戦略」のひとつとして桃太郎ジーンズを取り上げたのです。

世界一のジーンズを目指し、日本の ものづくりへのこだわりが込められたジーンズで欧州進出をしていたJAPAN BLUEの事業戦略や、ジーンズストリートとして地方のシャッター商店街を復活させた経緯が高く評価されて、全国に名前が知れ渡たりました。

桃太郎ジーンズの名前が広まるとともに、直営店舗の第1号である桃太郎ジーンズ児島味野本店にも多くのお客さんが足を運ぶようになります。

ときには、入場規制を実施することもあったようで、十分なサービスを提供できずに、もどかしく感じることがあったそうです。

リニューアルによる売り場面積の拡大は、お客さんがゆっくりと時間をかけて、お気に入りのジーンズを見つける空間を提供するために実施されました。

桃太郎ジーンズ児島味野本店限定サービス

桃太郎ジーンズ児島味野本店限定ジーンズ

桃太郎ジーンズ児島味野本店限定のカラーである青を使った二本線が描かれているジーンズを取り扱っています。

JAPAN BLUEでは、「青」を大切な色としているそうです。

インディゴ染により生まれる「青」だけでなく、児島から見える瀬戸内海の「青」を表現。

直営第1号店の限定カラーとして、JAPAN BLUEが大切にしている「青」が採用されているのです。

デニムスーツ

桃太郎ジーンズ児島味野本店では、デニムスーツを販売しています。

JAPAN BLUEが運営する店舗でデニムスーツの仕立てを行なっているのは桃太郎ジーンズ児島味野本店のみ。

色落ちしにくいデニム生地として開発された「シンデニム」を使用。

従来のデニム生地が持つようなカジュアルな雰囲気はなく、スーツのシルエットに調和した質感を持っています。

珍しいデニム生地のスーツは、30代を中心にビジネスで使うために購入する人が多くいるそうです。

おわりに

デニム生地で装飾された入口から店内に足を踏み入れ、整然と並べられているジーンズを見渡すと、まるで展覧会に来たような気分になります。

商品を手に取るだけでなく、さまざまなシルエットのジーンズや生地の経年変化を見て楽しむことができ、ジーンズを見学するための空間になっていました。

また、時間の流れを感じさせる旧郵便局舎と古民家の中に職人が手掛けた商品がならんでいる光景からは、地域で育まれてきた産業を後世に残していこうという意思が感じられます。

一度は賑わいを失った商店街を復活させられたのは、地域に根ざした産業が持つ力が影響しているのかもしれません。

江戸時代から続く地域産業の歴史を格好よく受け継いでいる桃太郎ジーンズ児島味野本店に、ぜひ足を運んでみてください。

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