トヨタとの僅差の争いをアルピーヌA480が制しPP獲得/WEC第2戦ポルティマオ予選

 LMP1に代わってル・マン・ハイパーカー(LMH)規定が導入された2021年のWEC世界耐久選手権。そのシーズン第2戦となる『ポルティマオ8時間レース』の公式予選が6月12日、ポルトガル南部のポルティマオ(アルガルベ国際サーキット)で行なわれた。

 LMP1ノンハイブリッドマシンでハイパーカークラスに参戦するアルピーヌ・エルフ・マットミュートの36号車アルピーヌA480・ギブソン(アンドレ・ネグラオ/ニコラ・ラピエール/マシュー・バキシビエール)が最速タイムをマークし、ポールポジションを獲得している。

 今季のWECでは予選に関するレギュレーションが変更され、昨年までの各車2名の平均ラップで順位を決する方式から、シンプルな1名のドライバーによる最速ラップで順位を決定する方式が採用されている。

 予選のセッションはふたつに分けられ、最初にLMGTEプロとLMGTEアマの混走セッションが10分間、インターバルを挟んでハイパーカーとLMP2クラスの混走が10分間行なわれる。

 現地時間18時、気温21度/路温38度で開始されたLMGTEプロ&アマの予選では、ケッセル・レーシング57号車フェラーリ488 GTE Evoで木村武史が、Dステーション・レーシング777号車アストンマーティン・バンテージAMRでは星野敏が、それぞれアタックを担当した。

 AFコルセの51号車フェラーリ488 GTE Evoをドライブするジェームス・カラドがブレーキロックから白煙を上げ、AFコルセ54号車フェラーリのトーマス・フローがコースオフを喫する場面も見られるなか、まずはチーム・プロジェクト1の56号車ポルシェ911 RSR-19を駆るエギディオ・ペルフェッティがアマクラスのトップタイムをマークしていく。

 これを、デンプシー・プロトン・レーシングの77号車ポルシェ911 RSR-19のクリスチャン・リードが上回る。

 しかし、チェッカーが振られるなか56号車のペルフェッティが77号車のタイムを逆転し、GTEアマクラスのPPを決めた。

アマクラス最速となったチーム・プロジェクト1の56号車ポルシェ

 一方、プロクラスでは最初のアタックでAFコルセの2台がワン・ツーとしたが、すぐさまポルシェGTチームの92号車ポルシェ911 RSR-19をドライブするケビン・エストーレが1分37秒台に入れる俊足を見せ、トップに立つ。

 2番手につけていたAFコルセ51号車のカラドは終盤に逆転を狙ってアタックするが届かず、ポルシェ92号車がプロクラスのPPを獲得している。

LMGTEプロクラスで最速タイムをマークしたポルシェGTチームの92号車ポルシェ911 RSR-19

 AFコルセ52号車のダニエル・セラはトラックリミット違反によりタイムが削除された結果、全体の最下位でセッションを終えたかに見えたが、その後発表された暫定リザルトでは4番手に復帰している。

 日本勢では、木村は1分41秒276でクラス7番手、星野は1分41秒499でクラス9番手で予選を終えている。

 暫定リザルトによれば、GTEプロ&GTEアマの予選では延べ15件、トラックリミット違反によるラップタイム取り消しがあった。

木村武史がドライブするケッセル・レーシングの57号車フェラーリ
Dステーション・レーシングの777号車アストンマーティン・バンテージAMR

■最終アタックで勝負が決したハイパーカー&LMP2予選

 続いて18時20分からはハイパーカーとLMP2クラスの予選セッションとなった。

 トヨタGAZOO Racingの7号車GR010ハイブリッドはマイク・コンウェイ、8号車はブレンドン・ハートレーがアタックを担当。このほかハイパーカークラスでは、アルピーヌ36号車はバキシビエール、グリッケンハウス・レーシングの709号車グリッケンハウス007 LMHはリチャード・ウェストブルックの手でコースインした。

 計測1周目から、トヨタ7号車を含む6台のマシンがトラックリミット違反によりタイムを削除されるなどしたため、タイミングモニター上では激しく順位が変動。そんななか、まずは1分30秒524をマークしたアルピーヌ36号車のバキシビエールがトップに立ち、トヨタ7号車のコンウェイが1分30秒540で続いた。FP3までの全体ベストは31秒台後半。燃料搭載量を削ってのアタックで、いよいよ各車のポテンシャルが見えてくる。

 トヨタ8号車のハートレーは1回目のアタックを1分31秒499で終える。多くのクルマが一度ピットへと戻り、タイヤを交換して2回目のアタックへと出ていった。

 アウトラップ翌周の一発勝負となる2度目のアタックでは、トヨタ8号車のハートレーが1分30秒458とタイムを縮めた一方、7号車コンウェイはタイム更新ならず。

 ハートレーのタイムはバキシビエールが前半に残していたタイムを上回るものだったが、ハートレーの直前で2度目のアタックを敢行していたバキシビエールは、自身のタイムを更新する1分30秒364をマークしており、0秒094差でポールポジションを手中に収めた。

ブレンドン・ハートレーがアタッカーを務めたトヨタ8号車

 3番手にはトヨタ7号車、4番手にはLMP2クラス最上位となるJOTA28号車オレカ07・ギブソンのトム・ブロンクビストが続いた。JOTAはアントニオ・フェリックス・ダ・コスタがアタックした38号車も総合5番手に続いており、LMP2クラス内でワン・ツーを達成する結果となった。

 グリッケンハウスのウェストブルックは、トップから1.8秒おくれとなる総合11番手で予選を終えている。

 ハイパーカー&LMP2クラスの予選も、延べ18件のトラックリミット違反が発生するやや荒れた展開となった。

 8時間の決勝レースは13日日曜の現地時間11時(日本時間19時)にスタートが切られる。

グリッケンハウスはベストタイムをトラックリミット違反により削除されている
LMP2クラスの最速タイムをマークしたJOTAの28号車オレカ。トヨタ7号車からはコンマ6秒差

© 株式会社三栄