広島の名物といえば「お好み焼き」。
でも福山は同じ広島県でも文化が違い、距離も離れているので、なかなか本場・広島にお好み焼きを食べに行けませんよね。
実は、JR福山駅から徒歩で約5分という場所に、本場・広島の味を楽しめるお好み焼き店があるのです。
それが「お好み焼き 鉄板焼 えんまる (以下 えんまる)」。
店主は広島で名店として知られる老舗「みっちゃん総本店」で修業。
いっしょに店を起ち上げたスタッフも、広島の名店「ちんちくりん」で修業しました。
本場の味が福山で楽しめるのです。
さらに、えんまるは店独自のユニークなトッピングやサイドメニューもたくさんラインナップしています。
えんまるの魅力やこだわりについて、紹介していきましょう。
えんまるは福山駅から徒歩5分の広島お好み焼と鉄板焼の店
えんまるは、福山市元町にあるお好み焼き・鉄板焼の店です。
JR福山駅から徒歩で約5分のところにあります。
お好み焼きは、いわゆる広島お好み焼。
加えてたくさんの鉄板焼やドリンクも楽しめます。
店主の千葉さんは、広島市にある有名な老舗「みっちゃん総本店」で修業し、独立しました。
また千葉さんとともにえんまるを起ち上げたスタッフは、同じく広島市の人気店「ちんちくりん」で修業しています。
福山市で本場仕込みの広島お好み焼きを食べられるのが、えんまるの魅力です。
さらに、えんまるならではのメニューや福山色の強いメニュー、ユニークなメニューもラインナップしています。
なお、えんまるの席は、全席で鉄板から直にお好み焼きが食べられるのもポイントです。
ちなみに、えんまるは『ミシュランガイド広島・愛媛 2018 特別版』に掲載されました。
福山駅前という立地のため、地元のかたから仕事や観光などで福山に来たかたまで、幅広いお客さんが訪れています。
えんまるのメニュー
2023年(令和5年)2月時点の情報。価格は消費税込
えんまるのメニューは、お好み焼・焼そば・焼うどんから鉄板焼、そしてドリンクなどさまざま。
メニューは、一部をのぞきテイクアウトできます。
お好み焼きは、いわゆる広島お好み焼です。
中に入る麺は、そば(中華麺)とうどんの2種類から選べます。
基本となるお好み焼きは「豚玉そば(うどん)」。
それにトッピングの組み合わせによって、数種類のお好み焼きがあります。
もちろんトッピングも多数。
また、焼そば・焼うどんもおすすめです。
めずらしいのは、オムそば・オムうどんに「完熟」と「半熟」の2種類がある点。
完熟は、一般的なオムそば・オムうどんです。
半熟は、焼き上げたそば・うどんと玉子を混ぜ込んで、さらに焼き上げたもの。
半熟オムそば・うどんは、えんまるならではのメニューです。
またお好み焼きには、期間限定メニューがあります。
期間限定メニューは、春夏秋冬の四季ごとに登場します。
内容は、毎年同じとは限りません。
さらにえんまるでは、鉄板焼をメインとした一品料理や、ドリンクも充実しています。
定番ものから個性的なもの、地域性のあるものまで、いろいろな鉄板焼料理がラインナップ。
個性的なデザートもありました。
さらに、壁掛けメニューにも注目です。
レギュラーメニューの一品料理も多いうえ、壁掛けメニューもとても豊富にそろっています。
「鞆のガス天」や「さよりの炙り焼き」「肉のもりせん焼きギョーザ」など、地元ならではのメニューもありました。
ドリンクも「ガリガリ君サワー」「グリコ アイスの実サワー」「森永 ICE BOXサワー」など、個性的です。
また「しまなみゆずサワー」「福山ラムコーク」「福山コーラ」など、地元ならではのドリンクもありました。
料理以外にもこだわりあり
えんまるでは、料理以外にもこだわりがあります。
たとえば、えんまるで使っているソースは、店主・千葉さんの修業先、広島市の名店「みっちゃん総本店」の特注ソース。
福山市内では、えんまるでしか味わえないソースです。
また、お好み焼きを食べる際に使用するヘラにも注目。
えんまるで使っているヘラは、一般的なものよりも小型で、角が丸まっています。
女性や子供でも食べやすいサイズで、口の中にヘラを入れやすいのです。
細やかな気配りがうれしいですね。
えんまるのオススメメニュー
たくさんラインナップしている、えんまるのお好み焼きや一品料理。
そのなかからオススメのものや人気のものをピックアップして紹介しましょう。
「えんまる焼き」は一番人気の看板お好み焼き
「えんまる焼き」(1,300円)はえんまるの看板メニューで、一番人気のお好み焼きです。
基本のお好み焼き「豚玉そば(うどん)」をベースに、以下をトッピングしたもの。
- イカ天(イカ姿フライ)
- 韓国海苔
- 大葉
- ネギ
- 目玉焼き
とても豪華で、盛りだくさんな内容ですね。
タップリのネギと、その上の目玉焼きのインパクトが抜群の、ビジュアル面も豪華なお好み焼きです。
お好み焼きをカットして現れた断層を見ると、タップリのキャベツと麺に交じり、大葉やイカ天が見えます。
なかなかのボリューム感です。
黄身を割ると、トロリとした半熟の黄身が流れ落ちます。
麺は香ばしく、パリパリッとしていました。
内側のほうの麺は、モッチリとした食感で、2種類の味わいが楽しめます。
キャベツのシンナリ感とやさしい甘さ、モヤシのシャキシャキ感、イカ天のシンナリとした食感と風味、豚肉の食感とうまみ、ソースの甘さに加え、ときどき現れる韓国海苔の風味がしておいしいです。
そして大葉のさわやかな香りがアクセントになってたまりません。
「牛しょぶり焼き」は希少部位のミンチ肉を使用
「牛しょぶり焼き」(1,100円)は、根強いファンのいる人気のお好み焼きです。
二番目に人気があるお好み焼きだそう。
牛しょぶり焼きのベースは、基本の「豚玉そば(うどん)」。
その中に具材として、牛しょぶり肉を入れたものです。
福山の隣・府中市には、ミンチ肉を使った「府中焼」と呼ばれるお好み焼きがあります。
牛しょぶり焼きは府中焼のミンチ肉よりも大粒で、食べごたえがありそうです。
麺の上に、焼いた牛しょぶり肉を載せていきます。
できあがった牛しょぶり焼きは、一見すると豚玉そば(うどん)と見分けがつきません。
中の断層を見てみると、牛しょぶり肉が入っているのがわかります。
キャベツやモヤシの食感、そばの食感のなかで、牛しょぶり肉はコリッとした歯ごたえがあって存在感がありました。
そして、肉から染みだしてくる肉のうまみ・味わいが広がってきます。
「炙りネギマヨ」はバーナーで炙った香ばしさがクセになる
「炙りネギマヨ」(1,000円)は、えんまるで三番人気のお好み焼き。
名前のとおり、お好み焼きの上にネギとマヨネーズをかけて炙ったものです。
ベースのお好み焼きは「豚玉そば(うどん)」。
そこへタップリのネギとマスタードマヨネーズをかけます。
そして、ガスバーナーを一気に放射!
完成した炙りネギマヨは見た目からすでにおいしそうで、しかも香ばしさがただよってきました。
食べると、お好み焼きの味わいに加え、焦げ目の風味・香ばしさが口の中に広がってきました。
そしてネギのシャキシャキ感と風味、マヨネーズのトロリとした舌触りとまろやかさ・甘さが味わえます。
炙りネギマヨは、とてもクセになる味わいです。
「鉄板焼ポテトサラダ」は新感覚の名物料理
「鉄板焼ポテトサラダ」(600円)は、えんまるの名物サイドメニュー。
ポテトサラダを鉄板で焼いた、新感覚の料理です。
しかも、焼いたポテトサラダの上にはチーズが載り、ガスバーナーで炙られていました。
これをアイスクリーム用スプーンで、少しずつすくって食べていきます。
表面はサクッとした食感で、焦げ目の香ばしさを感じました。
そして、熱々です。
さらにホクホクとした食感とジャガイモの甘味、チーズのトロリとした舌触りに香ばしさが加わります。
これは、クセになるおいしさです。
「牡蠣のポン酢鍋」は牡蠣のおいしさを堪能できるシンプルな一品
「牡蠣(カキ)のポン酢鍋」(880円)はアルミホイルでつくった簡易鍋を鉄板上に置き、その中で牡蠣を温めます。
牡蠣は広島産です。
牡蠣はプリプリッとした食感で、牡蠣の味わいを楽しめるシンプルな食べかたではないでしょうか。
牡蠣から染みだしたダシの味わいがたまらない一品です。
途中で付属のニラ醤油をつけ、味を変化させて楽しめます。
お好み焼きからサイドメニュー・ドリンクまで、個性的なメニューがそろうえんまる。
店主の千葉雅量(ちば まさかず)さんに話を聞きました。
えんまるの店主・千葉 雅量さんにインタビュー
お好み焼きからサイドメニュー・ドリンクまで個性的なメニューがそろう、お好み焼き 鉄板焼 えんまる。
店主の千葉雅量(ちば まさかず)さんに開業の経緯や修業時代の秘話、店のこだわり、今後の展望などを聞きました。
インタビューは2021年6月の初回取材時に行った内容を掲載しています。
金融機関から脱サラ、お好み焼き店開業を目指し広島の老舗で修業
──開業の経緯を知りたい。
千葉(敬称略)──
昔からお好み焼きは大好きだったんですが、お店をやろうとまでは考えていませんでした。
学校を卒業し、金融機関で働いていたんです。
外回りで、いろいろな店主や経営者のかたと触れ合ううちに、自分も商売をしてみたいと思うようになりました。
事故で入院したり、ちょうど年齢が30歳という節目の年だったりし、今後の人生をいろいろ考えるようになったのもありますね。
考えた結果、商売をするなら昔から好きだったお好み焼きかな、と。
福山では、まだまだ自分が思う理想のお好み焼き店はないと思っていたのもあります。
当時の上司も私と同じくお好み焼きが好きで、同じようにいつかはお好み焼き店をやってみたいという夢を持っていたんです。
それならいっしょにお好み焼き店をやろうということになりました。
それから仕事を辞め、広島市内を中心に多くのお好み焼き店を食べまわり、勉強しました。
食べまわったなかから修業先を決め、そのお好み焼き店に入社して修業を始めたんです。
──修業先はどんな店?
千葉──
「みっちゃん総本店」という店です。
昭和25年(1950年)に創業した、広島を代表する老舗お好み焼き店ですね。
昔からの伝統的な味やつくりを守りながら、時代に合わせた新しい店舗などを出すという運営の仕方に惹かれました。
あと鉄板まわりや調理場の整理整頓が徹底されていて、飲食店としてすばらしいと感じたのも理由です。
調理がていねいなのも重要な点でした。
修業期間は約2年。
ちなみにいっしょに店をやる予定の上司は、広島市内の「ちんちくりん」という別のお好み焼き店で修業しています。
修業を終えてから、地元・福山でスムーズに物件が見つかりまして、平成28年(2016年)12月11日に「えんまる」を開業しました。
店名は、お好み焼きを通じたご縁が、お好み焼きのように丸く広がるように願いを込めています。
お好み焼きの最初の一手・生地を焼く作業がもっとも難しかった
──修業先での思い出は?
千葉──
飲食店の経験はアルバイトを少しやった程度ですので、ほとんどすべてが大変でしたね。
まずは接客担当や皿洗いなどから始めました。
ずっと立ちっぱなしなんてそれまでなかったので、最初はかなり疲れたのを覚えています。
お好み焼きを焼かせてもらうようになって、いちばん難しかったのが、実は最初の工程である生地を焼くこと。
最初の工程なのになかなか上手に焼けず、鉄板の片隅で何度も焼いて練習しました。
ちゃんと焼けるようになるまで、けっこう時間がかかりましたね。
あとラッキーだったのは、入社時に行きたい店として希望を出したところ、希望どおりの店に配属されたことです。
──それは、なぜ?
千葉──
実は自分で出す店はお好み焼きだけでなく、一品料理や酒類なども出そうと考えていました。
希望した店は、みっちゃんの店のなかでも地元客向けの一品料理などサイドメニューの多い店。
やろうと思っている形態に近い店で経験を積めたのは、よかったです。
みっちゃんは、お好み焼きに関しては基本に忠実につくっていくのが流儀。
いっぽうサイドメニューに関しては、さまざまな挑戦をさせてもらえたんです。
またお好み焼きでも、まかないで食べる分には自由にさまざまな工夫をさせてもらえました。
ですから、まかないは私にとって実験の場でしたね。
当時私がまかないでつくったメニューが、サイドメニューに昇格したりもしていますよ。
修業先で学んだことを生かしながら「えんまる」らしさも追求
──店や料理のこだわりを教えてほしい。
千葉──
コンセプトは「本場・広島の本格的でおいしいお好み焼きが食べられる」ことです。
そのため、麺やソースはこだわりました。
麺は広島市のお好み焼き専門の麺会社の麺を仕入れ、生麺をその場で茹でて使っています。
あと当店はお好み焼き店でも少ない、うどん麺にもこだわった店でもあるんです。
コシのあるモチモチとしたうどん麺を探して、使っています。
ソースはみっちゃん総本店のオリジナルソースを使っているんです。
これは福山市内で当店だけ!
キャベツは、採れた時期の特徴に合わせて切り方を変えています。
食材は、国内産のものを使っていますよ。
なかでも肉はこだわっていまして、たとえば牛肉は九州産の黒毛和牛などを使っています。
──みっちゃんとえんまるで違う点はある?
千葉──
ベースとなるお好み焼きは、みっちゃんで学んだ基本的な焼きかたを忠実に守ってつくっています。
一点だけ基本の焼きかたで違うのは、当店は麺を焼くときに牛しょぶりの脂を加えていること。
これは、麺をよりパリパリッとさせるための工夫です。
さらにお好み焼きの味に、コクや深みが出るんですよ。
いっぽうでお好み焼きのトッピングに関しては、当店ならではのものをたくさん用意しているんです。
トッピングは、みっちゃんにはないものが多いですね。
私はお好み焼きの魅力のひとつは、トッピングだと思っています。
お好み焼きは、トッピングの工夫によって無限の可能性を秘めていると思うんですよ。
修業先で学んだ基礎を守りつつ、新たな挑戦をしてえんまるらしさも追求しています。
みっちゃんの修業時代にサイドメニューやまかないで自由に挑戦させてくれた経験が、いま生きていると思いますね。
とにかく何でも焼いてみる!
当店の一番人気で看板メニューである「えんまる焼き」ですが、ポイントのひとつがトッピングの韓国海苔。
これ、実はみっちゃんで私がまかないとして実験的につくって、サイドメニューに昇格した「韓国風海苔サラダ」をヒントにしたんですよ。
実際に、試しにお好み焼きに韓国海苔をトッピングしてみたら、めちゃくちゃおいしくて。
「これは自分の店を出したら、やってみよう!」と思ったんです。
実は今も実験はやってまして(笑)。
「とにかく何でも焼いてみる」が基本スタンス。
それでおいしいものが発見できたら、季節限定メニューやレギュラメニューに登場させたりします!
ちなみにお好み焼きだけでなく、サイドメニューもですね。
デザートの「焼きもみじ饅頭のアイスクリーム添え」なんかも、「とにかく何でも焼いてみる」精神から生まれました(笑)。
あと焼くわけではありませんが、ドリンクも実験精神でオリジナルメニューを考えました。
「グリコ アイスの実サワー」や「ガリガリ君サワー」が、そうですね。
目標は郊外への支店の出店
──今後の展望ややってみたいことがあれば、教えてほしい。
千葉──
今は福山の駅前に店がありますが、郊外にも支店を出してみたいですね。
福山駅前とは立地も客層も変わるし、求められるものも変わってくるでしょう。
ですが、挑戦してみたいですね。
あと当店はミシュランガイドに掲載されました。
でも、まだまだ福山のみなさまには知られていないなと感じています。
ですから、当店の知名度をもっと高めたいですね。
広島お好み焼の基本を守りつつ独自性も追求するえんまる
広島市の歴史ある名店で修業し、お好み焼きの基本形を守りつつも、店の独自性を追求するお好み焼き店・えんまる。
基本的な広島お好み焼きが食べたいなら「豚玉そば」、個性的なお好み焼きが食べたいなら「牛しょぶり焼き」「炙りネギマヨ」など、さまざまなオリジナルお好み焼きが楽しめます。
またサイドメニューやドリンクも充実しているので、仕事帰りに立ち寄るのにもピッタリではないでしょうか。
伝統と個性が融合した「えんまる」で、ぜひお好み焼きや鉄板焼を味わってみてください。
ちなみにえんまるの公式ブログは、千葉さんが修業していた時代から続けています。
ぜひブログも読んでみてください。