那須川天心VS武尊の〝夢対決〟「12月30日、第3のリング」で開催へ

「1対3」変則マッチで貫禄を見せつけた那須川天心(囲み写真は武尊)

Xデーはここだ! 〝キック界の神童〟那須川天心(22)が格闘技イベント「RIZIN.28」(13日、東京ドーム)での「1対3」変則マッチで貫禄を見せつけた。いよいよ来春のキックボクシング卒業に向けてファイナルロードを歩むが、気になるのは今大会での実現が流れたK―1のエース・武尊(29)との頂上決戦だ。消滅の可能性も指摘される中、RIZIN大みそか大会の前日12月30日に〝第3のリング〟で開催する方向で調整していることが明らかになった。

那須川の試合は3分3ラウンド(R)で行われ、1Rごとに相手が交代する変則マッチ。キックは禁止で、バックブローやスーパーマンパンチが認められる特別ルールで行われた。相手は1Rが那須川のホームリングである立ち技打撃格闘技イベント「RISE」を主戦場とする大崎孔稀(21)で、2RはHIROYA(29)。当日まで「X」と伏せられた3人目は〝戦う元フリーター〟所英男(43)だった。

時間を重ねるほどに自身は消耗するのに対し、元気な相手が次々と出てくるタフな一戦。しかし神童は最初から最後まで身軽なステップと的確なパンチで攻め続け、約12・5キロも体重が重いHIROYAからは衝撃のダウンも奪った。

結果はKOなしで3R全て時間切れで終了。規定により判定はなかったが、那須川は対戦相手への感謝とともに「来年3月か4月のRISEでキックボクシングを卒業してボクシングに専念します。年末大みそか、RIZINで最後の試合に出るので、それにふさわしい試合をしたい。本気でボクシングで世界チャンピオンを取ろうと思っています」と改めてキック卒業とボクシングでの世界王座奪取を誓った。

当初、この日のドーム決戦では武尊との一戦が予定されていた。東京ドームはそのために押さえたことをRIZINの榊原信行CEO(57)も認めている。だが武尊が3月のレオナ・ペタス戦で古傷を抱える右拳を負傷したことにより、実現には至らなかった。

これにより夢カードの実現自体に悲観論もささやかれるようになったが、実際はどうなのか。榊原CEOは本紙の取材に「可能性は十分あると思います。(那須川のキックでの)残り試合は実質3試合です。そうすると、年末にワンチャンスあるかなというところ。そのためにみんなが協力し合って、ドリームカードを実現する一期一会の共同チームみたいなものをつくる必要もあるでしょう。僕は調整役として回りますけど」と説明する。

ただし、実現の可能性について関係者が口を揃えるのは「五分五分」という表現だ。武尊の回復状況に加え、両陣営の意向が大きく左右するため50%の可能性だという。ある関係者は「全員『やるべきだし、実現すべきだよね』というのは共通している。だから十分チャンスはある。ルール、その他は全く決まってないけど」と話す。

そしてもし対戦が実現する場合の「Xデー」は限られる。那須川の残り3試合のうち2試合は主戦場の「RISE」で、9月23日の神奈川・ぴあアリーナMM大会と来春大会が決定的。となれば、残すは年末しかない。

別の関係者は「第三者のリングとなれば大みそかのRIZINはない。12月29日はボクシングのビッグマッチが入りそうなので、そういう事情を考えて30日になりそうだ」と明かした。

仮に12・30大会で那須川―武尊の大決戦が実現すれば、年末は2夜連続の格闘技祭りとなる。ラストチャンスに向け、交渉の行方に注目だ。

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