独立リーグからNPB復帰を目指す元燕・由規 開幕から無傷の7連勝できたワケ

BC埼玉武蔵・由規【写真:新保友映】

NPB復帰への思いを独占手記で公開

ヤクルト、楽天で通算32勝を挙げた、現在ルートインBCリーグ・埼玉武蔵でプレーする由規投手が連勝街道を走っている。12日の群馬戦は5回6安打3失点。初回に3失点も立て直し、開幕から無傷の7連勝。その要因のひとつには足裏が深く関係していた。またリーグ首位を走るチームの応援から得たやりがいもパフォーマンスに好影響。随時掲載する独占手記で心境を明かした。【構成・新保友映】

チームはリーグ首位を走っています。打線の援護もあり、開幕戦から7連勝をさせてもらっています。(好調の)要因としては集中力と言うか、お客さんが入った中で、高いモチベーションを持って、投げられているということです。選手は(観客の有無で)モチベーションに違いが出ますね。

今、心掛けていることは、先取点を取られないということ。当たり前のことだけど、試合を優位に進めるために、先に点をやらないということができています。あとは毎回意識している下半身の考え方に、新しい発見がありました。

目を向けているのは足裏の感覚と体幹、体重移動の方向です。ここ3~4年くらい、足底=足の裏を意識していて、そこに疲れを溜めないことを考えてきました。

体重がかかっている位置や、疲れの出る位置はその日によって違います。それをなんとなく、足裏で感じられるようになりました。もちろん、肩も体全体もケアをしていますが、自分の中で、足裏と足首の感覚を大切にしています。

セルフケアも結構できるんですよ。例えば、ゴルフボールで足裏をマッサージしたりとか、足の指に手の指を入れてぐるぐる回したりとか。そこが疲れてくると、「こうやって動かしたいのに……」と、イメージ通りに動かなくなるんです。結局は地面の反力を使って、ボールに力を伝えないといけないので、より足の裏の感覚は大事だなと感じています。

インソールで変わった下半身の意識や日焼け止めを使って体のケア

西武から埼玉武蔵に派遣されているトレーナーさんに紹介してもらったインソールを試したことをきっかけに、足型を取って入れています。それによって体重移動の方向性を矯正できるようになりました。今までも試したけど、合わなくて……。疲れたり、逆に負担がかかったりする感じだったんですけど、今回、紹介してもらったものがフィットしているんです。

そのハマったインソール。今まではスパイクにしか入れてなかったのですが、普段から矯正をしてみようと思い、ウエイトトレーニングの時もインソールを入れ替えて意識するようにしていて。ちょっとしたことだけどそこがすごくしっくり来ています。

初めてしっくりきたことで、自分の中で、一層、興味が湧き、視点が変わりました。それもいい方向に変わっているのかもしれない。今まで肩を意識しなくてはいけなかったのが、どんどん下半身に意識がまわって、そこ(下半身)が疲れたら肩に負担が来るし、フォームのバランスのずれも出てくる。それによってどこにずれが出てきたのかも明確になります。結果よりも何より、投げている感覚が良いですね。

夏場になると体がしんどいのは間違いありません。その中で、試合の時の準備というよりは、試合に入るまでの準備をしっかりするようにしています。例えば、日頃からエアコンに当たりすぎないようにするとか、涼しいところばかりにいすぎないとか。ちょっとしたことですが、日焼け止めを塗って負担を軽減したりとかしています。

チーム状況はきっと昨年も良かったとは思いますが、今年も良いのは確かです。負けが込んでいてもチームの雰囲気が良いのと、首位にいて良いのとでは全く違います。首位にいられるのは選手にとって、モチベーションが違いますし、注目度も上がっていきます。それが選手の中で、見られているという意識に変わって、アピールにもなっていますし、5月末の巨人3軍との試合でも2000人くらいお客さんが入ったと聞きました。

自分も、多くのお客さんに見られているという意識でいい投球をしなきゃという部分もあれば、ピンチの時でも抑えて帰ってきたら、盛り上がる。そうすると、球場の雰囲気も変わるんです。

オープン戦の時の集中力と、開幕してからとでは全然違います。それは応援のおかげでもあります。選手もやっぱり人間なんで、試合中に周りを見渡すこともありますし、勝っているから、お客さんも増えているという良い連鎖があって、そういった状況が自分たちでも見えているというのが、良いと思うんです。

お客さんの前でやっている意識が、プロの自覚に変わる

今後、疲れが溜まってきて、万が一、負けが続くようなことがあったときに、今のいい雰囲気を保ちつつできるかが大切になると思います。今のうちに貯金を作っておくことが大切だとチーム内でも言っています。

お客さんの前でやっている意識が、プロの自覚に変わる。そういうのも、チームのみんなの中にもさらに芽生えてきているのではと感じます。NPBのスカウトの方が、毎回、見に来ているというのも選手の耳に入っています。

首位にいることは得しかないですね。勝ちたい欲もあるし、プロに行きたい欲もある。勝てば勝つほど、スカウトの方たちも見に来るし、お客さんも、強い試合を見たら面白かったらSNSでつぶやいてくれて、それがさらに新しいお客さんを呼んでくれることにもなる。会社も含めて、全員で盛り上げていただいているなと感じています。(新保友映 / Tomoe Shinbo)

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