SBK第3戦エミリア・ロマーニャ:ドゥカティのリナルディが今季初優勝、2レースを制す。レイは未勝利に終わる

 スーパーバイク世界選手権(SBK)のエミリア・ロマーニャラウンドが、イタリアのミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで行われ、レース1とスーパーポール・レースではマイケル・ルーベン・リナルディ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が優勝。トプラク・ラズガットリオグル(パタ・ヤマハwith BRIXXワールドSBK)がレース2で優勝した。日本人ライダーとして唯一、SBKに参戦する野左根航汰(GRTヤマハ・ワールドSBKチーム)は、レース1で13位、スーパーポール・レースで12位、レース2で13位だった。

■レース1:リナルディが今季初優勝を飾る

 土曜日午前中に行われたフリー走行3回目では、セッション終盤、10コーナーでのユージン・ラバティ(RCスクアドラ・コルセ)の転倒により赤旗中断。ラバティはこの日のレース1には出走できなかった。 
 
 その後行われたスーパーポールの結果により、レース1のポールポジションはジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)、2番手はラズガットリオグル、3番手がスコット・レディング(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)という1列目の顔ぶれとなった。日本人ライダーとして唯一、SBKに参戦する野左根は14番グリッドを獲得し、5列目からレースに臨んだ。また、レース1では、ギャレット・ガーロフ(GRTヤマハ・ワールドSBKチーム)が、第2戦エストリルでのクラッシュに対しペナルティが科されてピットレーンスタートとなった。

2021年SBK第3戦エミリア・ロマーニャ決勝レース1

 レース1は気温29度、路面温度48度のドライコンディションで始まった。ホールショットを奪ったのはレイだったが、続く2コーナーではマイケル・ルーベン・リナルディ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)がレイに並びかけ、3コーナーではラズガットリオグルがレイとリナルディのインに飛び込み先頭を奪う。しかし、6コーナーでリナルディがラズガットリオグルのインサイドに入ってトップを奪還した。
 
 さらに、2番手に浮上したレイにレディングがオーバーテイクを試みる。レディングは何度か前に出かけたものの、レイが巧みにポジションを奪い返し、1周目を1番手リナルディ、2番手レイ、3番手レディング、4番手ラズガットリオグル、5番手アレックス・ロウズ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)で終える。
 
 トップのリナルディと、リナルディを追う2番手のレイ。このふたりが、序盤に早くも3番手以下とのギャップを広げ始める。レイは、2周目にレース中のファステストラップのレコードを更新するタイム、1分34秒476を叩き出し、リナルディを追う。
 
 トップ2が抜け出す一方、3番手はラズガットリオグルとレディングによって争われた。5周目の4コーナーで、ラズガットリオグルがレディングをパス。ラズガットリオグルが3番手に浮上した。
 
 その後方には、5番手のロウズ、6番手のトム・サイクス(BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)、7番手のチャズ・デイビス(チーム・ゴーイレブン)、8番手のアルバロ・バウティスタ(チームHRC)などが続く。野左根は13番手にポジションを上げていた。
 
 10周目、トップは依然としてリナルディ、2番手にはレイがつけていたが、1コーナーでレイがあわやスリップダウンを喫しそうになる。転倒は免れたものの、レイはコースアウト。すぐにレースに復帰したが、3番手に後退した。
 
 レイに代わって2番手に浮上したのはラズガットリオグル。トップを走るリナルディは2番手のラズガットリオグル以下に3秒以上のギャップを築いた。その後、その差はさらに大きくなっていく。
 
 残り5周、トップのリナルディは、2番手のラズガットリオグルに対して約4秒の差をつけ、独走態勢を築いていた。また、2番手のラズガットリオグルと3番手のレイとの差は1秒以上。トップ3のライダーたちはそれぞれ、単独走行となっていた。
 
 リナルディはそのままトップを独走してチェッカーを受けた。リナルディにとって、今季初優勝、そしてAruba.it レーシング-ドゥカティに移籍してからの初勝利となった。2位はラズガットリオグル、3位はレイだった。
 
 4位はレディングで、5位はロウズ、6位はバウティスタ。野左根はレース後半、レオン・ハスラム(チームHRC)とポジション争いを展開し、13位でフィニッシュを果たしている。

2021年SBK第3戦エミリア・ロマーニャ マイケル・ルーベン・リナルディ(Aruba.it Racing – Ducati)

 

■レース2でラズガットリオグルがリナルディの3連勝を阻止

 日曜日午前中に行われたスーパーポール・レースでは、リナルディが優勝。レース中盤、トップを走っていたラズガットリオグルを交わすと、そのままチェッカーを受けた。2位はラズガットリオグル、3位はレイだった。
 
 野左根はフリー走行3回目に赤旗を無視した走行を行ったとして6グリッド降格のペナルティを受け、20番グリッドからスタートし、12位でレースを終えている。また、前日のフリー走行3回目の転倒によりレース1に出走しなかったラバティは、スーパーポール・レース、レース2には出走した。
 
 レース2は気温31度、路面温度49度のドライコンディション。スーパーポール・レースの結果を受けて、リナルディがポールポジション、ラズガットリオグルが2番グリッド、レイが3番グリッド。野左根は15番グリッドからのスタートとなった。
 
 ホールショットを奪ったのは、今週末2連勝中のリナルディ。しかし続く4コーナーでラズガットリオグルがリナルディのインに飛び込むと、さらにそのふたりのインサイドを突いてレイがトップに躍り出る。

2021年SBK第3戦エミリア・ロマーニャ 決勝レース2

 
 しかし2周目の8コーナーで、リナルディがレイをオーバーテイク。トップに立ったが、レイが再びリナルディを交わし、トップで3周目に入る。トップのレイ、2番手のリナルディ、3番手のラズガットリオグル、そして4番手のレディングと5番手のロウズがトップ集団を形成していた。
 
 3周目の7コーナーではリナルディが再びレイをパス。レイは4周目にはラズガットリオグルに交わされ、3番手に後退。ラズガットリオグルが2番手、レイが3番手となる。
 
 5周目、チャズ・デイビス(チーム・ゴーイレブン)がメカニカルトラブルにより、ピットイン。デイビスはここでリタイアとなった。
 
 トップ争いは、次第にリナルディとラズガットリオグルのふたりにしぼられていった。リナルディとラズガットリオグルは、ともにファステストラップを叩き出しつつテール・トゥ・ノーズの接戦を展開する。そして8周目、ついにラズガットリオグルが14コーナーでリナルディをオーバーテイク。ラズガットリオグルがこのレースで初めてトップに立った。
 
 2番手に後退したリナルディの後方には、3番手のレイ、4番手のレディングが続く。トップに立ったラズガットリオグルは少しずつ2番手のリナルディとの差を広げていき、レース中盤の12周目にはギャップが1秒以上となったが、再びリナルディがラズガットリオグルとの差を詰めていき、15周目には差が0.5秒ほどになる。しかし、ラズガットリオグルに対してリナルディのラップタイムが落ちていき、残り3周にはその差が再び1秒以上に開いた。
 
 ラズガットリオグルはトップを守り切り、今季初優勝を飾った。2位はリナルディ。イタリアラウンドの3レースすべてで表彰台を獲得している。3位はレイで、こちらも3レースで表彰台に立ったが、未勝利に終わった。

2021年SBK第3戦エミリア・ロマーニャ決勝レース2 トプラク・ラズガットリオグル(Pata Yamaha with BRIXX WorldSBK)

 
 4位はレディング。終盤にレイから大きく離されてのフィニッシュとなった。5位は、残り2周でロウズのオーバーテイクに成功したガーロフ。6位はロウズだった。野左根は序盤から13番手付近を走行し、そのまま13位でレースを終えた。
 
 また、スーパースポーツ世界選手権(WSS)に参戦する川崎祥吾(G.A.P.モトズー・レーシングbyプセッティ)は、レース1では転倒リタイア。レース2では、6周目の4コーナーでマリア・エレーラ(ビブリオン・イベリカ・ヤマハ・モトクス・レーシング)が転倒し、これによって悪化した路面状況のために赤旗が提示された。約20分後にレースは再開し、川崎は26位でレースを終えている。 
 
 スーパースポーツ世界選手権300(WSS300)では、岡谷雄太(MTMカワサキ)がレース1で4位。レース2では、岡谷は最終ラップまで優勝争いを展開していたが、14コーナーで他車と接触し、転倒。リタイアとなった。

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