佐世保「第4波」の渦中 長崎と同時に波を受ければ手に負えない 佐世保市総合医療センター 増崎理事長

「佐世保は第4波の渦中にある」と語る増崎理事長兼院長=佐世保市平瀬町、市総合医療センター

 佐世保市で新型コロナウイルスの「第4波」が本格化している。県内の感染者は5月中旬まで長崎市を中心に増えたが、6月に入ると佐世保市のペースが上回った。元長崎大学病院長で、県北医療の中核を担う佐世保市総合医療センターの理事長兼院長に今春就任した増崎英明氏(68)に現状や課題などを聞いた。

 -6月に入り佐世保の感染者が急増した。現状をどうみているか。
 長崎を襲った波が、佐世保にも遅れてやってきた印象がある。佐世保は「第4波」の渦中にあり、まん延が進むかどうかの分岐点に立っている。

 -佐世保県北医療圏の病床占有率は約4割で推移している。余裕はないのか。
 病床数で医療の逼迫(ひっぱく)度を判断するのは大きな間違い。問題は患者に対応できる医療者がいるかどうかだ。特に看護師が不足しており、現場の状況は依然として厳しい。
 長崎で入院患者が急増した場合は、佐世保でも受け入れる。それは逆も同じ。今後、「第5波」も起こると想定するべきだ。佐世保と長崎が同時に波を受ければ手に負えなくなる。最悪の事態を避けるために収束を急がなければならない。

 -市民が心掛けるべきことは何か。
 マスク着用や3密(密閉、密集、密接)回避など基本的な感染防止対策は変わらない。特に若い人の感染が多く、症状が重くなる事例もある。自粛疲れがあるかもしれないが、持続的な対策に取り組んでほしい。
 「第3波」が広がった時は、佐世保市内でも人工心肺装置「ECMO(エクモ)」を使用した重症事例があり、妊婦や人工透析患者の感染者にも対応した。第4波が長引けばさまざまなケースが出てくる。医療現場が難しい対応を迫られることも忘れないでほしい。

 -65歳以上のワクチン接種が始まった。
 国内全体の接種率はまだまだ低いが、佐世保市は1回目が40%を超えており、順調に進んでいる。ワクチンは最大の防御になる。医療センターも集団接種に医師や看護師を派遣し、全面的に協力している。

 -県北の中核病院として新型コロナとどう向き合うのか。
 主に重症者の治療を担っているが、周辺病院も中等症や軽症者を受け入れている。それぞれが連携して地域の医療崩壊を防いでいる。長崎大学病院とも緊密に情報を交換し、県北全体の医療を守っていく。


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