「事件性あるから…」林真須美死刑囚の夫が明かす警察〝塩対応〟 長女と女児が無理心中か

林真須美死刑囚(1998年8月撮影)

今月9日に大阪府の関西空港連絡橋から37歳の女性が女児とともに転落死した一連の事件で、女性は1998年7月に起きた和歌山毒物カレー事件で死刑判決が確定し、再審請求中の林真須美死刑囚(59)の長女だと一部で報じられた。林死刑囚の夫の健治氏(76)と長男(33)が本紙の取材に応じ、「カレー事件と長女の死亡情報を結び付けて、臆測で報じられたくない」と口を開いた。

今月9日、和歌山県和歌山市の自宅アパートで住人の鶴崎心桜(こころ)さん(16)が全身打撲による外傷性ショックで死亡していた。

その約2時間後、心桜さんの母親(37)とその娘(4)が関西空港近くの海上で浮いているのが発見された。無理心中したとみられる。

発見後、母親が林死刑囚の長女ではないかとの情報がメディア関係者の間を駆け巡った。くしくも9日は、林死刑囚が新たに申し立てた再審請求が5月31日付で和歌山地裁に受理されたと分かった日でもあった。

そのタイミングが重なったことについて、長男は「『(長女が)犯人視されてるのを苦にして…』だとかミステリー小説のようなストーリーを作られ、再審に影響されても困る」として本紙の取材に応じた。

「10日にテレビ局から『飛び降りて亡くなったのが長女さんかもしれない』と連絡があって、その後、マスコミ各社からの問い合わせで電話が鳴りっぱなしでした。ただ、警察から何の連絡もないし、答えようがなかった」(長男)

死亡事案と無理心中発覚後、警察からは心桜さんの名前と死因以外に目立った発表はない。心桜さんという漢字も健治氏らが聞いていたものとは違っていた。事実ならば、供養してあげないといけないという気持ちもあり、健治氏と長男は12日夕方に、和歌山東署に確認に行ったが、「担当者に『ウチの娘と孫が亡くなったと聞いたけど本当ですか?』と聞いたら、『事件性があるから捜査中なので』と、はっきりしたことは言えない様子だった」と望むような回答はなかった。心桜さんの遺体との面会もかなわなかった。

なお、9日夜には和歌山市内の路上で心桜さんの父とみられる男性が見つかり、病院への搬送時「首をつろうとしたが失敗した」と話し、県警は男性からも話を聞いている。“事件”のカギを握る存在だが、健治氏も長男もその男性が心桜さんの父なのか確認できていないという。

それにしても、身元の確認に訪れた親族に警察が“塩対応”をするのは不可解だ。元警視庁刑事で犯罪心理学者の北芝健氏は「普通は身元の確認は親族の目視で『間違いありません』とやる。極めてスムーズなものだけに、『捜査中』というのは本当だろうが、奥歯に何かものが挟まったようにも感じる。県警の対応は解せない」と話す。

詐欺罪で実刑判決を受けた健治氏は2005年に刑期を満了し出所。しばらくして、長女が連れてきた心桜さんに会った。毎週金曜日に4人の子供が集まり、手料理をふるまうのを楽しみにしていたが、親を見守り続けると決意した長男とは異なり、娘3人とは次第に疎遠に。その後、長女と孫に会うことはなかった。

長男によると、長女は再審請求が受理されたことを知らなかったといい、カレー事件と関わること自体を避けていた。「まだ警察が発表していないし、(姉が亡くなったという)事実確認はできてない。再審請求が決まって、お父さんと『頑張ろう』と言ってた矢先の出来事で、臆測で書いて再審請求に影響するようなことはあってほしくない」と改めて強調した。

一方、一部では林死刑囚が今回の報道について「そんな暗い話はいらん」と一蹴したとも報じられている。

健治氏は「誰かが言いに行っとるかもしれないけど、拘置所の中でこんな話聞いたら、アイツのこっちゃから大荒れになって懲罰になってしまうんやないやろか」と話した。5月28日に大阪拘置所で林死刑囚に面会したという長男も林死刑囚のメンタルへの影響を心配した。

事件はどのような道をたどるのか。

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