インディカー第8戦デトロイト:オワードが果敢なアタックで大逆転。チームメイトに勝利を捧げる

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 ダブルヘッダーで行われたNTTインディカー・シリーズのデトロイト戦。レース2となる第8戦が13日に行われ、レース終盤に逆転したパト・オワード(アロウ・マクラーレンSP)がシーズン2勝目を挙げた。

 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、オーバーテイクを見せるも12位でレースを終えた。

 今年のデトロイトは雨に悩まされることがなかった。日曜日も予選はやや曇りがちの空だったが、レースは青空の下で開催された。午前中は少し涼し目だったが、レースは2日続けて暑さの中での戦いとなった。

 予選ではジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)が1分14秒1094という驚異的タイムを出してポールポジションを獲得した。前日のレースを戦ってマシンのセッティングが向上したところへ、涼しいコンディション、ラバーの乗った路面という条件が重なってのことだ。土曜に続いてPPはシボレーユーザーとなった。

 予選2番手はコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート)。タイムは1分14秒4300だった。予選3番手はレース1で2位フィニッシュしたリナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)。

 レース1ではいいところのなかったアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)が日曜日には戦闘力を復活させ、予選4番手。5番手はデトロイトも素早くマスターした感のあるロマン・グロージャン(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)。6番手はスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)、7番手はアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)だった。

 レース1ウイナーのマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ)が予選22番手。レース1で最多リードラップを記録したウィル・パワー(チーム・ペンスキー)も予選20番手とスタートは後方グリッドからと決まった。

 同じくレース1で3位フィニッシュしたパト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)も15番手と振るわず、レース1で4位フィニッシュした佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)も変更したマシンセッティングが期待通りのハンドリングを引き出すには至らず、予選19番手だった。

ホールショットを決めるジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)

 レースでは、大半のチームがレッドーブラックーブラックと繋いでゴールを目指す作戦を採用。しかし、ポールシッターのニューガーデンを含めた3人だけがスタートでブラックを履いていた。

 そして、彼はブラックでもトップのポジションを守り、ライバル勢のレッドの摩耗が進むとリードを広げていった。問題は彼もいつかレッドを装着して走らなければならないという点。案の定、最終スティントでレッドを装着したニューガーデンに、予選2番手だったハータがブラックタイヤ装着で迫っていく。

 ハータがニューガーデンをパスしてトップに躍り出るのは、どのコーナーで、残り何周のタイミングになるのか……という展開だったが、この大逆転は実現しなかった。

速さを見せるコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート)

 ハータの今季2勝目のチャンスは、元NASCARチャンピオンでインディカー・ルーキーのジミー・ジョンソン(チップ・ガナッシ・レーシング)がスピンし、マシンをストールさせたことで潰されてしまった。

 ニューガーデンのタイヤはグリップを失い始めていたが、イエロー走行で冷やされ、リスタートでは逆にソフトコンパウンドの温まり易さが威力を発揮していた。

 さらに、F1から転身して来たルーキーのグロージャンがスピン。ブレーキが火災になって、3回目のイエローが出された。

 ゴールを前にリスタートが2回。ここで高い能力を発揮したのがオワードだった。残り7周でグリーンフラッグが振られた時には、ターン1でグラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)のインに鋭く切り込んでパスし、ターン3ではパロウをアウトから抜いて見せた。

 マシンセッテイングが原因なのか、オーワードのドライビングスキルが優れているのか、タイヤが温まり切らない状況で彼は目覚ましいスピードを見せた。

 3番手に浮上した次のラップ、オワードはハータをバックストレッチエンドで抜き去り、2番手。残すはニューガーデンひとりとなった。差は1.2秒。残り周回数はまだ5周もあった。レッドタイヤのグリップがなくなりつつあったニューガーデンのトップは風前の灯となった。

 攻め手を休めずにオーワードはニューガーデンに接近し、プレッシャーをかけた。22歳、キャリア1勝目を挙げて間もないドライバーが元シリーズチャンピオンを追い詰めていた。

 そして残り3周のバックストレッチエンドでオワードはついにトップに立ち、その後は差を6秒以上にまで広げてチェッカーフラッグを受けた。

勝利を喜ぶパト・オワード(アロウ・マクラーレンSP)

「マシンが本当に速かった。予選は自分のミスで順位が悪くなったが、必ず上位に上がって行けると信じていた。レース前にフェリックス(・ローゼンクヴィスト)には、“お前のために勝つ”と言っていた」

「終盤の勝負どころでは、どのドライバー相手でも躊躇することなくパスに挑戦した。チャンスを作ったら一気に思い切っていく。そうしないと絶対にダメだと考え、実行に移していた。チームが自分を信頼し、最高のマシンを用意してくれている。2勝目を挙げることができて本当に嬉しい」とオーワードは語った。

 勝利を逃したニューガーデンは、「悲しい。本当に悲しい結果になった。シボレーによる1-2フィニッシュになったことは素晴らしいが……」と肩を落とした。敗因はタイヤチョイス。勝負どころにレッドを持って来たのは失敗だった。

 3位はパロウ。ハータは4位でのゴール。しぶといレースぶりでレイホールが2レースとも5位。パワーは目立たない戦いぶりながら6位。ディクソンも同様で、7位でのゴールとなった。

 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は19番手スタートから一時は4番手を走ったが、マシンのセッティングは土曜日よりも悪くなっており、2回目のピットストップの後に順位を上げていくことができなかった。

 それでもレース終盤に10番手まで挽回。さらに上位を狙った結果、ラインを外れてタイヤかすを拾い、逆にふたつ順位を下げてのゴールとなった。

12位で終わった佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)