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緑と水が豊かな倉敷市の花見の名所、酒津公園は倉敷市民の憩いの場です。
子供たちの遊び場や散歩など、老若男女から愛される酒津公園の一角にある古民家カフェを知っていますか。
周りの自然に溶け込みながらも「あれはなんだろう?」と興味をそそられる外観です。
高梁川の水が緩やかにカーブして街へと流れていく場所にある「水辺のカフェ 三宅商店 酒津」を訪れました。
酒津の自然と調和する建物
「水辺のカフェ 三宅商店 酒津(以下:三宅商店)」はその名のとおり、水辺にあります。
高梁川の水が酒津公園を通過し、カフェの前をさらさらと流れ、街へと向かっていくのです。
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カフェの裏側は山になっており、目の前にも桜などの木々が並んでいます。
耳を澄ますと鳥の鳴き声が。自然のBGMに癒されます。
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酒津公園の遊歩道側から橋を渡って三宅商店側へ行きましょう。
▼写真右手前が2010年にオープンした三宅商店のカフェで、奥が2021年3月に新設されたピザ小屋です。
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カフェとピザ小屋の前には広々とした庭があります。
ピザ小屋新設にあわせて庭もリニューアルしたそうです。以前より広くなりました。
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庭のところどころに席が設置されています。
酒津の自然を感じながら、外でも食べられるのはうれしいですね。
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細部まで地元愛にあふれた店内へ
まずは手前の古民家カフェへ。
入口はいってすぐ右手には、マスキングテープコーナーがあります。
主に女性に人気なマスキングテープは、倉敷生まれなのは知っていますか。
三宅商店のさりげない倉敷愛を感じます。
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マスキングテープコーナーの隣にはジャムが並んでいます。
グラデーションが美しい、こちらのジャムはなんとメイドイン倉敷!
三宅商店のジャム工房で作られています。
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1階のカウンター席から紹介しましょう。
川側に設けられているカウンター席では、窓に向かって座ります。
酒津の木々が窓いっぱいに広がり、眼下には川がさらさら。
自然をもっとも感じられる席かと思います。
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1階にはカウンター席以外にお座敷も。
畳に敷かれている大きな緞通(だんつう)が目に入ります。
座布団は倉敷ノッティングが使われていました。
どちらも倉敷の民芸品で、ここにも倉敷愛が感じられるのです。
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開かれた窓から風が吹き抜けます。
訪れた日は初夏を感じさせる暑い日でしたが、風は川の水で冷やされ、ひんやり爽やか。
新緑が目にも優しく癒されます。
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では、2階にあがりましょう。
階段をあがってすぐの席は、ソファー席になっていました。
こちらのソファーとテーブルはTEORIの商品で、ここにも倉敷愛を発見!
TEORIは倉敷市真備町にあり、真備の竹から家具などを作っている会社です。
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他には座布団席もあります。
庭側か川側かお好きなほうをどうぞ。
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料理にも地元愛を詰め込んで
三宅商店といえば、定番メニューはカレーです。
地元の旬の食材がごろごろたっぷり。
カレー単品に浅漬けとスープもついています。
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スパイスを調合して作られているルーですが、スパイシーではなく甘い!
玉ねぎやフルーツから生まれる甘さだそうです。
子供から大人まで愛される味ではないでしょうか。
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新たにピザメニューが登場
古民家カフェの隣にピザ小屋ができたので、こちらも紹介します。
まず目に飛び込んでくるのは、鮮やかな青色のアート作品…かと思いきや、ピザ窯!
どのようなピザが提供されるのかワクワクさせてくれるピザ窯です。
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ピザを食べたい場合は、ピザ小屋で注文と支払いをしてくださいね。
食べる場所は外でも古民家カフェ内でもOKです。
テイクアウトもできますよ。
三宅商店では自家製酵母を使ってピザ生地を作っているそうです。
さて、はじめての三宅商店のピザは何にしようかな。
一番人気はマルゲリータだそうですが、店長おすすめの「連島蓮根と枝豆のバジルソース」にしました。
蓮根がメインのピザを食べるのははじめて。
そのうえ、自家製酵母で発酵したピザ生地もはじめてです。
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ピザを焼く姿…かっこよくて見とれてしまいます。
待つことたったの2分、ピザが焼きあがりました。
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天気がよかったので、緑が美しく目の前に川が流れている外の席で食べることに。
酒津の自然を肌で感じながら焼きたてのピザをぱくり。
驚くほど連島蓮根がシャキシャキ!
高温で一気に焼き上げるのでシャキシャキ感が出るんだそうです。
にんにくの効いたバジルソースと蓮根の相性の良さにも驚きました。
チーズがたっぷりかかっているので香ばしさもあります。
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もっとも気になっていた、果物の皮を使った自家製酵母のピザ生地の味は…果物の風味がありません。
酸味はなく、もっちり弾力があり、香ばしい生地。
生地自体の味が主張すると思っていたのですが、きちんとメインの具を引き立てていました。
ピザは時期によって酵母や具材が変わります。
さて、次はどんなピザを食べようかな。
三宅商店の想いやピザを始めた経緯などについて、店長の井上さんに話を聞きました。
「水辺のカフェ 三宅商店 酒津」の井上真吾店長にインタビュー
三宅商店の想いやピザを始めた経緯などについて、店長の井上さんにインタビューをしました。
インタビューは2021年6月の初回取材時に行った内容を掲載しています。
──三宅商店の1号店は倉敷美観地区にありますが、なぜ2号店を酒津にされたのですか?
井上(敬称略)──
酒津が倉敷の水の起点になっていて町が広がっていくので、この地にしました。
もともと民家だった建物を改装したんです。
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家の周りのトタンを取り除いて、窓をつけて庭が見えるようにもしました。
社長は考えるのが好きなので建築士のかたに相談したんですよ。
冷暖房は最小限に設置し、基本的に窓を開けています。
川が近くにあるので、自然と風や季節を感じてもらえます。
食材も季節のものを取り入れているので季節を感じてほしいです。
──従来のカレーやスイーツなどのメニューに加え、新たにピザを始めた経緯を教えてください。
井上──
三宅商店がオープンしたのは2010年で、実はオープン時からピザを提供したい想いはあったんです。
しかし資金と人手がかみ合わず断念しました。
転機となったのは、ここ三宅商店から近い場所で旧原田邸を整備したことです。
古民家を改装した建物ですが、旧原田邸に三宅商店の事務所を移転し、ジャム工房を併設しました。
移転するまでは、今のピザ小屋が事務所だったんです。
そこで空いた事務所を改装し、念願のピザを作る場所を設置することになりました。
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──自家製酵母からピザを作るのは手間がかかると思うのですが、なぜ自家製にこだわるのですか?
井上──
三宅商店ではジャムを作っていて、その際に出る果物の皮を使っています。
最近よくいわれるSDGsですね。(本来捨てるものも)最後まで利用しています。
使う果物は季節によって変わるので、発酵スピードや酵母の強さが果物によって違うんです。
時期によっても製造の条件が変わってきます。
夏には桃やブドウで作ってみようと思っているんですよ。
また発酵させて酵母水を作るのですが、若干風味はあっても味には影響がないようです。
発酵させるときに酵母が泡を作り、フルーツの皮の周りに泡が出てきます。
発酵の力が強いものは、容器の蓋を開けると「ボンッ」と音がするんですよ。
イーストと発酵の工程は同じですが、自家製酵母のほうが発酵の力は弱く調節が必要です。
イースト菌を使うと手間がかからず楽ですが、使えるもの(果物の皮)は使おうという想いです。
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苦いですよね。発酵で糖がなくなっていて、苦みが残るようです。
そのためピザの生地には、果物のフルーティーさがでないみたいです。
──食材にもこだわりがありますか?
井上──
小麦粉は岡山県産のものを使っています。
ピザのメインの食材も岡山県産です。
ピザは季節で変わる予定で、基本的に高梁川流域の食材を使用しています。
新見市で捕れたイノシシや、瀬戸内の鯛や連島の蓮根などを使っていますよ。
クアトロフォルマッジは、ハチミツの代わりに当店の自家製ジャムを使っています。
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他に庭にもこだわっていて、庭師にお願いして作ってもらいました。
ピザを始めるにあたり庭も変えたんです。
以前は盛り土をしていたのですが、今回減らしてもらって目通しがよいようにしました。
──今後取り組みたいことはありますか。
井上──
今後はピザに力を入れていきたいですね。
庭もあるのでクラフトビール片手にピザを食べていただいて、大人のピクニックを楽しんでいただきたいです。
ピザは夕方から予約にして庭で提供したいと思っています。
夕方がやっぱりいいんですよ。夕日が沈んできて、庭から夕焼けが見えるんです。
夏でも夕方は割と涼しいんですよ。
他には、酒津公園があるので配達してそこで食べていただくものいいなぁと構想しています。
ただ、これらのことは新型コロナウイルスの影響で叶えられていないので、終息後には実現させたいですね。
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新たな三宅商店と今後にも注目!
カレーやスイーツで人気な三宅商店がはじめたピザは、他にはないこだわりが感じられました。
ジャムを作る工程で出る果物の皮を余すことなく使って生まれるピザ。
イースト菌を使わずあえて大変な工程を選んで酵母から作るのは、資源の有効利用と食に対する情熱があるからではないでしょうか。
さらに酒津の自然を感じながら食事をしてほしい、という想いも三宅商店ならではです。
三宅商店だから提供できる自家製酵母のピザ生地を使った、地元食材たっぷりのピザを味わいに行きませんか。