対馬・和多都美神社で「声」を奉納 朗唱家の天童さん

「三の鳥居」の下に立ち、「声」を奉納する天童さん。奥は再建工事中の「一の鳥居」=対馬市、和多都美神社

 朗唱家の天童大人(たいじん)さん(77)=東京在住=が10日、海中鳥居で知られる長崎県対馬市豊玉町の和多都美(わたづみ)神社を訪れ、毎年恒例の「声」の奉納をした。今年で32回目。
 詩を朗読する芸術家の天童さんは1972年以来、世界中の聖堂や古代劇場などで声をささげてきた。83年に知人の紹介で同神社を訪れた際、音が周囲の山々に反響して通り抜ける「声の道」があることを発見したという。90年以降、5月か6月の新月の日に訪れ、元寇(げんこう)の戦没者を弔うなどの目的で奉納を続けている。
 例年は本殿から250メートルほど離れた「一の鳥居」の下で奉納しているが、昨年9月の台風10号によって倒壊しているため、今回は「三の鳥居」の下で奉納。午後3時40分ごろから数十分間にわたり「あー」などと大声で叫んで自作の詩を披露し、太い声や高い声を周囲に響き渡らせた。
 一の鳥居は再建に向けた工事中で、同神社によると8月中旬には完成する見通し。天童さんは「これだけ声が通る場所はほかにはない。来年は再建した鳥居の前で奉納できるのを楽しみにしている」と話した。


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