小野田旧陸軍少尉描いた映画「ONODA」 カンヌ映画祭「ある視点」部門選出 津田寛治「感無量」

太平洋戦後もフィリピンのジャングルで孤独に過ごし、約30年後に日本に帰還した実在の人物である、小野田寛郎(おのだ ひろお)旧陸軍少尉を描いた映画「ONODA(原題)」が、現地時間の6月14日よりフランス・パリで開催の、第74回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門のオープニング作品に決まった。

「ONODA」は、太平洋戦争後も任務解除の命令を受けられないまま、フィリピン・ルバング島で孤独な日々を過ごし、約30年後の1974年に、51歳で日本に帰還した実在の人物である小野田寛郎旧陸軍少尉が生き抜いた孤独と壮絶な日々を描いた人間ドラマ。遠藤雄弥と津田寛治がダブル主演し、全キャストを日本人俳優が務めている。フランス、ドイツ、ベルギー、イタリア、日本の合作である「ONODA」を監督するのは、新鋭派監督のアルチュール・アラリ。全編日本語による演出にこだわり、徹底したリサーチと演出力で本作を作り上げた。

「ある視点」は、カンヌ国際映画祭の公式セレクションの一部門で、広く「独自で特異な」作品群が選考される。世界各国から毎年20本ほどの作品が選出されており、過去には黒沢清監督が「トウキョウソナタ」で審査員賞、「岸辺の旅」で監督賞を受賞。また2016年には深田晃司監督が「淵に立つ」で審査員賞を受賞するなど、多くの日本の映画監督の作品が賞に輝いている。オープニング上映作品として日本人俳優が関わる作品が選出されるのは、河瀬直美監督作「あん」以来となる。

出演した遠藤雄弥と津田寛治がコメントを発表し、遠藤は「共演者の皆様、アラリ監督をはじめ、スタッフ関係者の皆様に御祝いと感謝の気持ちをお伝えしたいと思います」と感謝を言葉にしている。津田寛治は、「自分の主演作がカンヌ国際映画祭で上映されるという夢が叶うことになり、感無量です」と喜びを述べている。

【コメント全文】

■遠藤雄弥
この度、映画『ONODA(原題)』で小野田寛郎(青年期)役を演じさせていただいた、遠藤雄弥です。
まずは、共演者の皆様、アラリ監督をはじめ、スタッフ関係者の皆様に御祝いと感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
アラリ監督から撮影イン前に、これから始まる撮影はとても大きな冒険になる。
この大冒険を最後まで一緒に楽しみましょう!
というメールをいただきました。
まさに、その大冒険は映画そのものであり、人生そのものでした。
この作品を通して、少しでも皆様の心に響けば幸いです。
そして、皆様の健康と幸せを心から祈っております。
映画『ONODA(原題)』お楽しみ下さい。

■津田寛治
自分の主演作がカンヌ国際映画祭で上映されるという夢が叶うことになり、感無量です。アルチュール・アラリ監督に出会えて本当に良かったです。若きフランスの映画監督が一人の日本兵に心動かされ、何年もの月日をかけて映画にしたこの作品に参加したことは、僕の人生において大きな事件でした。日常と非日常に境はない、だからこそ夢は実現するんだということを、南国のジャングルの現場にて学べたのです。
アラリ監督、そして小野田少尉、素敵な現実をありがとう!

【作品情報】
ONODA(原題)
2021年秋、全国公開
配給:エレファントハウス
©bathysphere ‐ To Be Continued ‐ Ascent film ‐ Chipangu ‐ Frakas Productions ‐ Pandora Film Produktion ‐ Arte France Cinéma

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