特別自治市構想は「横浜県構想」 有識者が疑問視 県設置研究会が初会合

県が設置した特別自治市構想などに関する研究会の初会合=14日午後、県庁

 横浜市などが目指す「特別自治市」構想を巡り、県が設置した有識者による研究会が14日、県庁で初会合を開いた。委員からは「市民が望んでいるのか、議論がなぜ出てきたのかよく見えない」など、構想を疑問視する声が相次いだ。

 研究会は地方自治に詳しい専門家6人で構成し、東京大の碓井光明名誉教授が座長に就任。この日の会合では、横浜市が3月に改訂した「特別自治市大綱」を踏まえ、二重行政や県の総合調整機能、財源の再分配機能への影響など10項目の論点を県が提示した。横浜国立大大学院の板垣勝彦准教授は「特別自治市は市だけが得をする構想で、かなり衝撃を受けた。分かりやすい表現を使うと『横浜県構想』だ」と説明。手続きとして、実現には県民に賛否を問う住民投票の必要性を指摘した。明治大の牛山久仁彦教授は「民主主義的な市民参加や市民ニーズへの応答が弱まるのではないか」と問題点を示した。

 研究会では論点に関する議論を重ね、11月をめどに意見を取りまとめる。特別自治市は政令市が道府県から独立する構想で、指定都市市長会は制度の法制化を目指している。

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