新幹線長崎ルート 在来線「JRの運行不可欠」 与党検討委 方向性まとめる

 九州新幹線長崎ルートの佐賀未着工区間(新鳥栖-武雄温泉)に関し、与党検討委員会は14日、東京都内であった上部組織の会合で、フル規格整備に向けた方向性を取りまとめたことを報告した。並行在来線は、これまでの議論で「JR九州が関与することが基本」としてきたが「経営分離を前提とせず、JR九州が運行を維持することが不可欠」とより踏み込んだ文言で意見をまとめ、JR九州などの関係者に佐賀県との密接な協議を求めた。
 与党検討委は▽在来線▽地方負担▽ルート▽地域振興-の四つの課題について協議。山本幸三委員長が与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(PT)に報告した。PTの細田博之座長は会合後「調和の取れた結論を得たいと山本委員長から報告があった。引き続き佐賀県などと話を進めてほしい」と話した。
 取りまとめ文書で在来線は「通勤、通学で利用する人が多く、鉄道として維持することが適当」と強調。「利便性確保について佐賀県と密接な協議をすることが必要」と求めた。取りまとめを受けJR九州は「関係者との協議に真摯(しんし)に対応する」とコメントした。
 地方負担は「フリーゲージトレイン(軌間可変電車)導入断念の経緯を踏まえ、佐賀県の財政負担の軽減を図る必要がある」と明記。軽減策として、貸付料(JRが国に支払う線路使用料)の徴収期間を現行の30年から延長して財源の充実を図り、佐賀県負担を減らす必要があるとした。
 ルートは「旅客流動や利用者の利便性、事業費などを総合的に勘案し佐賀駅を通るルートが適当」としながらも「佐賀県からフル規格を前提とした別ルートの提案があれば検討する」と記した。地域振興は「佐賀県からの要望をしっかりと受け止めることが必要」とまとめた。
 中村法道長崎県知事は14日の定例会見で「佐賀県の理解が得られ、早期事業化が可能になるよう強く期待する」と述べた。

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