【東京都議選2021】首都直下型地震に水害…!非常時に的確な判断ができる議員を選ぶために(データアナリスト・渡邉秀成)

東京都議会議事堂=東京都公式サイトより

都議会議員選挙が近づいています。今回の都議会議員選挙は新型コロナウィルス感染症が落ち着かない状態の中で執行されそうです。

都内の新型コロナウィルス感染者数が2020年同時期と比較しても、高い水準で推移しており、より感染力が強いウィルスに変化しているようなので、個人ができる対策としては、もうしばらく人が多い場所を避ける等の感染予防を継続する必要がありそうです。

ただ、東京都、首都圏は新型コロナウィルス対策にとどまらず、首都直下型地震に対する備えも必要となります。
新型コロナウィルス感染症が収束する前に、巨大地震が来た場合に対処できる体制になっているのかも気がかりです。

あまり考えたくないことですが、新型コロナウィルス収束の気配がない現状下で、首都直下型地震が発生した場合はどのような状況になるのか想像もつきません。

このような不安定な時期に執行される東京都議会議員選挙なので、非常時に的確な判断ができる可能性の高い候補者に投票をするというのも、各自が投票する目安の一つにしてもよいかもしれません。

 

実際、選挙が近くなると候補者が選挙公約等で【住民の安全安心を実現する】との演説等をすることがありますが、
具体的に東京都内にはどのような災害等が予測されているのかを見ていきたいと思います。

最初に首都直下型地震についてみてみます。
内閣府防災情報のページを見ますと首都直下型地震対策検討ワーキンググループの資料*が掲載されています。
*[http://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/taisaku_wg/](http://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/taisaku_wg/)

図1_首都直下地震の被害想定と対策について

この最終報告書を見ると、


1.地震の揺れによる被害
(1) 揺れによる全壊家屋:約175,000棟 建物倒壊による死者:最大 約11,000人
(2) 揺れによる建物被害に伴う要救助者:最大 約72,000人

2.市街地火災の多発と延焼
(1) 焼失: 最大 約412,000棟、 建物倒壊等と合わせ最大 約610,000棟
(2) 死者: 最大 約 16,000人、 建物倒壊等と合わせ最大 約 23,000人
*[http://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/taisaku_wg/pdf/syuto_wg_gaiyou.pdf](http://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/taisaku_wg/pdf/syuto_wg_gaiyou.pdf) より


建物倒壊、火災による死者を合計するとかなりの死者数が想定されていることがわかります。
さらに東京都都市整備局による地震に関する地域危険度測定調査第8回*をみると、東京都荒川区、墨田区、葛飾区方面、大田区、中野区、杉並区等の危険度が高いことがわかります。
*[https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bosai/chousa_6/home.htm](https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bosai/chousa_6/home.htm)

特に危険度が高いと推測される地域の区議会議員がどのような対策をこれまで実現してきたのか、どのような公約をしているのかについて、有権者は観察しておく必要がありそうです。

さらに地震だけではなく、近年はゲリラ豪雨や大型台風による水害による被害も想定されています。これら水害想定区域についても公開されていますので、それらのデータを見ていきます。

東京都建設局の過去の水害記録をみると、市区町村別に近年どの場所が浸水したかを町丁名単位で具体的に知ることができます。
https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/jigyo/river/suishin/suigai_kiroku/kako.html
https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/jigyo/river/chusho_seibi/index/menu03.html

これらの市区町村別の地図を見て、東京都内にお住まいのかたは、自身の住む場所で過去にどのような被害あったのかを知ることができます。また、これから引っ越しを考えている人も、引越しを検討している場所で過去どのような水害があったかを知ることで引越し先の再検討等をすることができます。

これらのハザードマップを見ていくと江戸川区では水害被害予想*が広範囲に出ていることがわかります。
*[https://www.city.edogawa.tokyo.jp/documents/519/chizu-nihon.pdf](https://www.city.edogawa.tokyo.jp/documents/519/chizu-nihon.pdf)

江戸川区のほとんどが水没してしまうような事態も想定されています。

江東区、墨田区も水害想定範囲が大きいので、これらの地域にお住まいの有権者は選挙時に、過去の各候補者が災害対策に何をしてきたのかを、会議録検索、政党、候補者のウェブサイトで確認しておくと良いかもしれません。

選挙になると誰に投票して良いものかわからない、誰に投票しても結果は同じだとして、投票を棄権しがちですが、身近な問題に対して、各候補者が具体的にどう対処するのか、対処してきたのかを考えて投票先決定をしてはいかがでしょうか。

今回は東京都や首都圏で具体的に予想される災害想定データをみながら、投票先決定の目安について考えてみました。

 

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