休日に用もなくバイト先に顔出しに来るヤツの心理 ゆとりフリーターの「ぬるい哲学」みんな違って、みんな草

ゆとりフリーターの「ぬるい哲学」みんな違って、みんな草


「みんな違って、みんないい」の精神で育てられ、
経験至上主義な大人、自由すぎる価値観を持った年下、
年が近いはずなのに分かり合えない同年代に囲まれても
「ふっ(笑)」とあしらうだけのぬるい地獄に浸ってます。

そんな環境でも日々を生き抜くため模索中の
「ゆとりフリーター」が綴る、ぬるい哲学と
想像以上にしんどい!人間図鑑


休みの日に用も無くバイト先に来るフリーターってなんなん?

どうも、ゆとりフリーターです。
皆さんは「休みの日に用も無くバイト先に顔を出しに来る人物」に遭遇したことはありますか?

フリーター歴8年の私はその状況に幾度となくエンカウントしたことがあります。
そしてその度に思うのです。

「…いやマジで何しに来たの??w」と。

用も無くやってきたというのがポイントです。
バイト先に買い物をしに来たわけでも無く、勤務中のスタッフとただ喋りにだけ来る人は一体どんな心理なんでしょうか?
急遽店長に呼ばれてきた・シフトを出しにきた等ならよくあることなので全く気にはなりません。が、私の気になるこの手のタイプはだいたい何故か店長や社員がいない日を狙ってやってくるんです。
“今日のシフトのメンバーなら俺が一番先輩だ”ということを判断したかのように。
颯爽と現れたその暇人の佇まいからは「皆さんお待ちかね俺です」と言わんばかりの自信顔で「おっ俺いないけどお店ちゃんと回ってる?俺いないのに」などと声をかけてくるような雰囲気さえも感じます。(雰囲気です。)
個人的な恨みはありません、いや急に筆が乗りすぎているのでこれはあるかもしれません。

……と、誤解はしてほしくないのですが休みの日にバイト先に遊びに来ること自体は悪いことではないと思います。
むしろそこまでバイト先に愛着を持てることは素晴らしいですし羨ましいとさえ思います。

この捻くれた思想の私は「“自分が休みの日にわざわざ来るその理由”が本当に分からない」がためにやたら目についてしまうのです。

私は元々考えすぎる性格で、なんならバイト仲間にわざわざレジを打ってもらうのがなんとなく申し訳なくて社割で買い物をしたことがほとんどないですし、いくら円満退職をしたとしても過去働いたバイト先のスタッフに見つからないよう近くの道を全力で避けてしまったりとムダな心労が多いタイプです。
私のこの気持ちもなかなか共感されないかもしれません(笑)

しかし考えてみてください。
もしこんな神経質の私が何かの拍子にうっかり、休日にバイト先へ顔を出しに行くことがあったら?
「何しに来たの?今忙しいんだけど」
「あ、意外と私服そういう感じなんだw」
「暇ならシフト入ってよ!」
なんて思われるんじゃないか…と、想像するだけで震えます。
だから私は自分が休みの日に職場に遊びに行かない。行けない。
でも、来る人は一定数いる。

一体どういう心理なの?
分からない!分からないから分かりたい!

はい。というわけで今回は「休日に用もなくバイト先に顔出しに来るヤツの心理」についてぬるく哲学していきたいと思います。

参考資料①”長い物には巻かれろ”な同年代のフリーター

哲学をするにあたり、今回は
私が21才の時に遭遇した『休日に用もなくバイト先に顔出しに来るヤツ代表』”長い物には巻かれろ”思想の同年代フリーター(以下:クロブチ⦅黒縁メガネ装着のため⦆)を紹介していきます。

当時、私は焼き鳥屋でアルバイトをしていました。
クロブチは私よりも2つ上の24才の男性で、私よりも1ヶ月ほど後にアルバイトとして入社してきました。
第一印象の見た目は”大人しそう”で、黒Tにラメで筆記体のロゴがあしらわれたそのファッションからは「地元の中学にいそう」でした。笑い声だけが異常にデカかったということを今でも思い出します。

そんな彼は、週4短時間勤務の私に比べて週5フルタイム勤務で働きスクスクとバイトリーダーに成長していきました。

勤務時間も長い彼は、社員や先輩スタッフと仲良くなるスピードが早く、たびたび「あ〜社員の〇〇さんは今日▲▲行くって言ってたわwこの間もさぁ」と私に”先輩スタッフのプライベートを知ってるアピール”をしてくるようになりました。
一方で社員の人にも「お前さぁ〜wこれやっとけよ〜w」とフランクにお前呼ばわりされており、ニコニコのクロブチ。順調に勢力を拡大。

私はなんか鼻につくけど声を大にして言える感じではない人物として観察を続けました。
そして彼はやがて「休みの日に用もなくバイト先に顔を出しにくる奴」に進化を遂げます。

社員や先輩スタッフがいない日に限って、シフトが入っているわけでもないのにクロブチがバイト先に現れるようになったのです。

やってくる時間は、怒涛のランチタイムが終わった15時あたり。
この時間帯は、お客さんの入りもまばらになり、料理の仕込み時間でもあります。
絶好の雑談タイムだと思ったのでしょう。
クロブチはだいたいこの時間にやってきてはどかっとカウンターに座り「今日忙しかった?」「俺ももっと休みてぇ〜〜〜(今日が久しぶりの休みだから)」と愚痴を垂れてくるのです。

「何しに来たん…?」

社員がいない日だけに来ることが後輩スタッフたちに対するマウントのように思え、鼻についていた私はそう感じていました。
といっても「愚痴を誰かに聞いてもらいたいから来た」「それほどまでにクロブチにとって焼き鳥屋が居心地の良い存在になっていた」ということでもあるなぁとも考えられ、
取り立てて言うほどのことではないかなぁ…と。

そんな中、ある事件が起きました。

参考資料②レジのお金が盗まれる事件

働き始めて半年あたりのことです。
ある日、店長が眉を潜めてこう言ってきました。
最近、レジ締めの時2万円足りない日があるんだよね

レジの金額に差異が出てしまうことは、お釣りの渡し間違いなどで珍しいことでもないのですがここで店長が私だけに言ってきた理由がありました。

それは、ある特定の日だけ2万円少ないというところです。
話を聞いていくとどうやらあのクロブチが出勤した日にだけ万単位で差異が出るとのこと。
しかし、私の働いていた焼き鳥屋は駅チカのこじんまりとした店舗だったため、セキュリティが甘いところも多く、自動釣り銭機なぞ持ってのほか、監視カメラの設置もないためただの憶測でした。
そこで、店長から「これからはレジ点検(データ上の金額と実際にレジにある金額に差異が出ていないか点検作業)と監視カメラの設置をしよう、クロブチには内緒で」と決まりました。

私は、レジ点検の仕事が増えてしまうのは少し面倒ではあると思いつつも身近なところで犯罪が行われているかと思うと恐怖していました。

レジ点検・監視カメラを導入して2週間後。
犯人が発覚。盗みが習慣化されていたからか、レジ点検の差異の出たタイミングとそのたびに監視カメラに写っていたことから簡単に突き止められました。

お金を盗んでいたのはクロブチだったのです。(やっぱり)

この事件で私が特に驚いていたのは、その2万円を何に使っていたのかというところ。

なんと、クロブチはレジからお金を盗んだその日に必ずとある社員にiTunesカードを献上していたのです。
その社員とクロブチの詳しい関係性は分かりませんが、側から見ていて仲の良い先輩後輩関係に見えていました。憶測ではありますが、社員がクロブチをパシリとして扱っていたのか、それともクロブチが気に入られたくて自発的に行動していたのか…私は後者なような気がすると思っていましたが真実は定かではありません。

その後、店長が直接注意をするとクロブチは翌日蒸発しました。

結論 生存戦略

以上の、彼のマウンティング行動・レジのお金が盗まれる事件を踏まえると「とても寂しい人間性」という風に感じてしまうかもしれません。
しかし私は「一つの行動を起こす時、前提として何を満たそうとしているか」を哲学していくと彼を他人事では感じられなくなりました。

「休みの日に用もなくバイト先に顔を出しにくる奴」は一体どういう心理なのか
私が辿りついた結論は、「彼らとってはもちろん用がある」から顔を出しに来ている。ということです。
ここまで書いておいてなんじゃそら!って感じですが、
顔を出しに『行く・行かない』の行動に置いて、その人が『得られるもの・失うもの』どちらを重視しているかで選択しているのだと気がつきました。

行く派の彼らは、バイト先に顔を出しに行くことで得られる多くのメリットを知っている(プライベートでも仲良くしておくことで仕事がスムーズにいく等)→生存戦略・自己顕示欲を満たすため
行かない派の私は、仕事の人とは仕事モードの自分で接しているから切り替えるのにカロリーが高い→精神的体力を削られないようにするため

それぞれが異なる前提条件を持っていて、どれを大事にするかはその人の好みなので、周りがとやかく言ったところでお門違いなわけです。
まぁ かといってこちらに迷惑をかけられるのは御免なので、お互いがお互い、価値観が違う物どうしで同じ地球にいるということを知って双方の間をとった行動をしようとすることが大事ですよね。なんて改めて思いました。

クロブチの前提条件はきっと…「安心したかった」んじゃないかなぁ。

以上、ゆとりフリーターでした!

文・イラスト/ ゆとりフリーター

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