〝漠然最下位〟の佐々岡カープを救うのはフロントのバックアップだ!OB大下剛史氏が激言

宇草を迎える佐々岡監督。連敗を止めたが…

【大下剛史 熱血球論】我が古巣カープがちょっと心配だ。引き分けを挟んだ連敗を8で止めた15日の西武戦では宇草、林といった若ゴイの活躍で久しぶりに会心の勝利を見せてもらったが、交流戦は3勝10敗3分けで12位。セ・リーグでもDeNAと最下位争いをしている。

長いペナントレースでは山もあれば谷もある。低迷の理由が明確なら、長年培った経験をもとに「ここをこうすれば良くなる」といった評論やアドバイスも可能だが、今のカープには肝心な「ここ」が見当たらない。開幕から戦いぶりを見ていて、漠然と試合に臨み、漠然と負けているような印象を受けていたのは私だけではないだろう。

もちろん、投打の主力が新型コロナウイルスの陽性反応や濃厚接触で大量離脱した影響は無視できない。ただ、それだけが原因なら離脱した選手の状態が戻ってくれば何とかなる。なかなかチーム状態が上がってこないのは走、攻、守の全てにおいて中途半端になっているからだろう。

先発ローテ、打順、継投、戦術…佐々岡監督をはじめとした首脳陣が良かれと思ってやっていることは痛いほど分かる。結果が伴わず堂々めぐりとなり、苦しんでいるのが現状だろう。こんな時こそ大事なのがフロントのバックアップだ。

何も新外国人選手の獲得やトレードによる活性化を勧めているわけではない。今こそフロントと現場の首脳陣がヒザを突き合わせて今後の戦い方について話し合い、方針をハッキリさせる。極端なことを言えば「今年は残り試合全て負けてもいいから、来年、再来年を見据えて若手育成に舵を切ろう」だったり、逆に「目先の1勝にこだわって、実績重視の選手起用をしよう」でもいい。ズルズルといってしまうのが最悪で、進むべき道が明確になれば少なくとも迷いなく戦えるはずだ。

私がヘッドコーチをしていた1991年にリーグ制覇できたのは、当時エースだった佐々岡が先発、抑えとフル回転してくれたおかげ。そんな戦友が苦しんでいる姿を見ると胸が苦しくなる。かと言って今は試合前のグラウンドで愚痴を聞いてやったり、冗談交じりにベンチで肩を揉んでやることもできない。

同じような思いで歯ぎしりしているOBは私だけではないだろう。ぜひとも現場とフロントがスクラムを組んで、この苦境を切り抜けてもらいたい。

(本紙専属評論家)

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