17日から「線状降水帯」速報へ 神奈川は東西2地域で 迫る「命の危険」に警鐘

気象庁=東京都港区

 豪雨災害の要因として注目される「線状降水帯」の発生地域を即座に知らせる取り組みが、17日からスタートする。気象庁の観測で基準を満たした場合に発表し、メディアなどを通じて周知を図る。線状降水帯が同じ地域に激しい雨をもたらし続けると災害の危険度が急激に高まることから、住民らに注意を促し、適切な避難行動を後押しする狙いだ。

 気象庁が新たに発表するのは「顕著な大雨に関する情報」。国や自治体が大雨関連の情報で運用している5段階の警戒レベルが4以上の状況で出される。

 線状降水帯の発生地域名を挙げた上で、「線状降水帯による非常に激しい雨が同じ場所で降り続いています。命に危険が及ぶ土砂災害や洪水による災害発生の危険度が急激に高まっています」などと呼び掛ける。神奈川の場合、地域名は東部と西部に区分される。

 また、気象庁のウェブサイトでは、雨雲の動きなどを示す地図上に発生地域を楕円(だえん)で示し、危険なエリアを視覚的に把握できるようにする。

 線状降水帯は、細長い形状の激しい降雨域がほぼ同一の地域に数時間以上停滞する現象。その特徴を踏まえ気象庁は、(1)3時間の積算雨量が100ミリ以上と解析された範囲が500平方キロ以上(2)激しい降雨域の形状が線状─など四つの基準を定め、全て満たした場合に発表することにした。防災科学技術研究所(茨城県つくば市)などが開発した自動検出技術を活用する。発表対象となる豪雨は全国で年間10~20事例と想定している。

 線状降水帯による激しい雨が甚大な被害を招いたケースとして、2014年8月の広島市土砂災害や15年9月の関東・東北豪雨、18年7月の西日本豪雨、昨年の7月豪雨などがある。これらについて検証したところ、いずれも新たな情報の発表基準を満たしていたという。

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