TMJ、MaaS向けコンタクトセンターを開設 運用設計のコンサルティングから事故・トラブル対応まで幅広く事業を提供

警備大手セコム子会社でコールセンターを運営するTMJ(東京都新宿区)がこのほど、次世代移動サービス「MaaS」ビジネスに特化した専用センターを札幌市内に開設したことを明らかにした。コールセンター事業で培ったノウハウを生かし、MaaS/モビリティビジネスの成功と普及を図る狙い。6月2日には拡販に向けた専用ウェブサイトを開設した。MaaSの運用設計などの提案業務から、問い合わせや事故の対応といった受託業務までを手掛け、一気通貫でMaaS/モビリティの支援事業を展開する。

開設したセンターの名称は、「Mobilish(モビリッシュ)」。「Mobility shared center」の各頭文字から取って命名したといい、次世代モビリティサービスを発展を支援する専用センターとして、幅広いサービスを展開するという。

同社によると、モビリッシュは、札幌エリアのオフィス内に設けた。電話やメール、チャットなど幅広いコミュニケーション手段で顧客と自社をつなぐコンタクトセンターとしての機能を付与したほか、専門的な知識を持った同社の基幹人材を配置。MaaSの導入や運用の業務推進を進める。

MaaS/モビリティビジネスのノウハウを提供

モビリッシュの事業モデル

モビリッシュで行う受託業務では、自動運転やオンデマンドタクシー、カーシェアリングといったMaaSサービスにちなむカスタマーサービスを代行して実施する。24時間365日対応で、事故や故障、トラブルなど緊急性の高い顧客からの問い合わせに対応。1人のオペレーターに、複数のモビリティ関連業務を任せることで、低コスト運用も図る。

提案業務では、これまでのモビリティビジネスで培ったノウハウを生かし、コンサルティング業務を展開する。コンサルティングの内容は、高齢者対応ノウハウのほか、MaaSサービスの運用・対応チャネルの設計やFAQ作成・更新・管理など幅広く、後手に回りやすいソフト面の支援に力を入れるという。

このほか、同社はモビリッシュを新技術の実証実験を担うセンターに位置付け、最新のツールや施策を導入。電話やビデオ通話といった応対チャネルの対応データを統合し、顧客に一貫性を持った経験を提供するオムニチャネルの構築にも努める。

担当者は「超高齢化社会の到来により、 モビリティサービスの需要が高まるとともに、社会のインフラとしてサービスそのものを支えるアフターサービスが必要となってくる。こうした時代に備え、社会に必要不可欠なサービスを提供していきたい」と話している。

TMJは1992年、ベネッセコーポレーションから独立分社化する形で設立。2017年に同社の株式譲渡に伴い、セコムの100%子会社となった。現在、国内外34の拠点を構え、金融や製造など約200社の顧客にアウトソーシングやコンタクトセンターのサービスを提供している。

同社では、2012年にモビリティ事業のサポート事業を開始。関連業務の受託が広がる中、2020年6月にMaaS事業の開発を目的した企業間連携組織「MONETコンソーシアム」に加わるなど、MaaS/モビリティにちなんだ事業ノウハウの蓄積に注力していた。

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