腕を開いた南天“がか座”の渦巻銀河、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影

【▲ 渦巻銀河「NGC 2008」(Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Bellini)】

こちらは南天の「がか座」(画架座)の方向およそ4億2500万光年先にある渦巻銀河「NGC 2008」です。中央の明るいバルジは小さく、渦巻銀河の特徴である渦巻腕はゆるく巻き付いていて、外側へ向かうにつれて腕を開くように広がっているのが印象的です。

銀河の分類のひとつに、アメリカの天文学者エドウィン・ハッブルが提唱した「ハッブル分類」というものがあります。ハッブル分類は銀河を形態に応じて分類するもので、渦巻銀河(spiral galaxy)は「S」で始まり、バルジの割合や渦巻腕の開き方によって「Sa」「Sb」「Sc」と細かく分けられています。NGC 2008は渦巻銀河であることとバルジが比較的小さく渦巻腕が開いていることから「Sc」に分類されています。

ちなみに、中央に棒状の構造がある棒渦巻銀河(barred spiral galaxy)は「SB」で始まり「SBa」「SBb」「SBc」と細分化されていて、たとえば「NGC 613」(ちょうこくしつ座)は「SBb」に分類されています。また、ハッブル分類では渦巻腕を持たない楕円銀河(elliptical galaxy)はどれくらい扁平に見えるかで「E0」~「E7」に、楕円銀河と渦巻銀河の中間にあたるレンズ状銀河(lenticular galaxy)は「S0」に分類されています。

【▲ 棒渦巻銀河の一例「NGC 613」(Credit: ESA/Hubble & NASA, G. Folatelli)】

欧州宇宙機関(ESA)によると、宇宙全体に偏在する渦巻銀河(棒渦巻銀河を含む)は観測された銀河の約7割以上を占めるといいます。この宇宙で渦巻銀河はありふれた天体と言えますが、それぞれが個性的で美しく、宇宙望遠鏡や地上の天文台が捉えた銀河の姿は私たちの目を楽しませてくれます。

冒頭のNGC 2008の画像は「ハッブル」宇宙望遠鏡の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」による光学観測データをもとに作成されたもので、ESAから2020年2月10日付で公開されています。

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Image Credit: ESA/Hubble & NASA, A. Bellini
Source: ESA/Hubble
文/松村武宏

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