4匹全て死ぬ ごみ袋に子猫遺棄 「猫捨てるのは犯罪 命大切に」

動物の遺棄・虐待の厳罰化を啓発するポスター(環境省提供)

 長崎市江川町のごみステーションに市指定ごみ袋で捨てられた生後間もない猫4匹は16日までに、全て死んだ。猫を遺棄する動物愛護法違反事件は後を絶たないが、市動物管理センターは今回のケースを「特に悪質」と指摘。「どんな形でも猫を捨てるのは犯罪。命を大切にしてほしい」と訴える。
 「全く同じ手口…」。同市の40代女性は今回の事件を知って驚いた。今春、市内のごみステーションで、ごみ袋に子猫が入れられているのを見つけた。警察への通報も考えたが、「弱っている子猫の命を守ることで精いっぱいだった」。
 女性は、飼い主のいない猫を地域で管理、繁殖を抑制して徐々に減らす「地域猫活動」に取り組んでいる。「保護活動をしているわけではないが、少しは知識がある」と子猫をすぐにタオルでくるんで温め、自宅で保護した。生後間もない猫には数時間おきの授乳が必要。しばらく睡眠不足が続いたが、「何とか元気に育ってくれている」。これから里親を探すつもりだ。
 相次ぐ子猫の遺棄に「怒りというより、悲しみの方が強い。罰も必要かもしれないが、福祉や教育の視点で啓発しないと根本的な解決にならないのではないか」と話した。
 環境省動物愛護管理室の担当者は「遺棄や虐待は犯罪行為。法的にも道義的にも許されない」と話す。昨年6月に施行された改正動物愛護法は遺棄・虐待を厳罰化。それまで100万円以下の罰金だったが、改正後は1年以下の懲役も追加された。市動物管理センターによると、段ボール箱などに入れて捨てるケースが多い。犯罪として扱うため、市民にはまず警察に通報するよう要請。その後、センターで保護している。
 県警生活環境課によると、動物の遺棄だけをまとめた認知件数の統計はなく、動物愛護法違反(遺棄)で書類送検したケースは過去1年間で1件もなかった。「捜査はしているが、多くは誰が捨てたか分からない」という。大浦署が引き続き江川町の事件を同法違反容疑で捜査している。


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