衆院選 県内選挙区情勢 <長崎1区> 外的要因を警戒

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写真左から 安江綾子氏、冨岡勉氏、西岡秀子氏

 10月21日の衆院議員の任期満了まで約4カ月。長崎県内では次期衆院選に向け、現職6人、新人4人の計10人が立候補を予定し、静かな前哨戦を繰り広げている。コロナ禍で従来の選挙手法を見直さざるを得ず、立候補予定者は手探りで支持拡大を図っている。

 国民民主現職の西岡秀子氏(57)=1期目=、自民現職の冨岡勉氏(72)=4期目、比例九州=、共産新人の安江綾子氏(44)の3人が出馬する見通し。長崎市でも新型コロナウイルス感染症の収束が見えず、いずれも目立った動きは避けつつ足場固めを急ぐ。
 「東京に緊急事態宣言が出ている時期に長崎に帰ると迷惑になる」。西岡陣営関係者は一様に頭を悩ませる。国会会期中も週末は極力戻ってきて活動してほしい。一方で、感染拡大で敏感になった市民の目が気になる。「こんな時期に、と批判を受けかねない」。後援会関係者は葛藤を抱えながら、本人不在のまま企業回りなどを重ねる。
 そんな中、既に推薦を決めている連合長崎は5月初旬、来夏の参院選や2年後の統一地方選も見据え、各地域の選挙態勢立て直しを急ぐ方針を決めた。「自民との差は地方議員数の差」として、秋の定期大会で統一地方選の一次推薦候補を決めるため、支援する野党各党に8月ごろまでに選定するよう促している。推薦候補と各地域組織の結束を強め、西岡氏の支持基盤も足元から固める考えだ。
 気になるのが、ワクチン接種が順調に進み、東京五輪が終わった後の政権支持率の動向。国民民主県連幹部は「感染が落ち着けば、政権支持率は上がってくるはず。そこが怖い」と本音を漏らす。連合長崎幹部も「今は政権への批判があるが、五輪が盛り上がれば首相の手柄になる。自民は好材料を持って秋を迎えられるのではないか。向こうのペースに乗っている気がする」と警戒する。
 5月上旬、冨岡氏の姿は長崎市内の病院にあった。新型コロナの第4波で患者が急増し、長崎医療圏の病床が逼迫(ひっぱく)し始めていた時期。転院患者の受け入れに対する国の支援メニューの一覧を手に説明していた。
 中央では党の新型コロナウイルス対策医療系議員団本部の本部長も務める。「国会に送り込んだら間違いなく仕事をする」。そう評した陣営幹部は「ただ…」と続けた。「(仕事ぶりが)市民に全く伝わらず、知名度も低い」。周囲はもどかしさを募らせる。
 前回は西岡氏に約1万票差をつけられたが、比例復活した。今回は秋解散の公算が大きくなっており、そうなれば7月に73歳になる冨岡氏は比例候補に適用する党内規の「73歳定年制」に引っ掛かる。「まさに背水の陣」との見方がある一方、「県都1区で議席を失うのは問題。確実に勝てる候補を立てるべきではないか」との声もくすぶる。
 挙党態勢の構築に不安が残り、さらには新型コロナへの対応や東京五輪の開催などを巡り、政権支持率も厳しい状況にある。「これまでの選挙以上に外的要因に左右されるだろう。ワクチン接種でどれだけ空気が変わるか」。別の陣営幹部は自民への“潮目”の変化も注視する。
 共産新人の安江氏は、各支部員とともに従来の支援者回りを重ねる。「この時期なので、全く知らない人たちへの声掛けは控えている」と慎重に活動を進める。