衆院選 県内選挙区情勢 <長崎4区> 宮島氏の動向注目

末次精一氏(写真左)、北村誠吾氏

 前地方創生担当相で自民現職の北村誠吾氏(74)=7期目=と立憲民主新人の末次精一氏(58)が立候補に向けて準備。選挙区初の一騎打ちの構図が固まりつつある。
 2019年に初入閣を果たした北村氏は「大臣経験を地域のために生かしたい」と意欲を示す。
 ただ、大臣時代にはちぐはぐな国会答弁が相次ぎ、地元からは失望の声も出ている。昨年秋には選挙区の五つの党支部長が「候補者の再考」を要求。党本部が「現職を優先する」としてひとまず沈静化した。
 背景には後継争いを巡る思惑もあり、地元県議らの名前が取り沙汰されたが、出馬の動きは見えない。
 北村氏は国会から地元へ帰るペースを上げて組織固めを急ぐ。しかし、その後も自らの“奔放”な言動で波紋を広げている。
 6日には報道陣に対し、政府が押し進める東京五輪開催に関して「何が何でもは間違い」と発言。党本部などの反感を買った。
 県議の復党問題で党員の意見が割れている松浦市では、県連会長(現在は退任)の立場で復党に奔走。県連は20日に党紀委員会を開き協議する予定だが、復党を認めていない党松浦支部の反発も予想される。党関係者は「衆院選までにまとまった態勢ができるのだろうか」と不安を口にする。
 対抗する末次氏は「なんだかんだ言っても相手は名前が売れている。こちらはまだまだ認知度が不足している」と課題を挙げる。
 自ら街宣車を運転して各地を小まめに回り、街頭に立ってアピールする。新型コロナの感染防止のため大規模な集会は開けないため、企業や団体を訪問して支持を訴える。
 選挙区に立民の地方議員は佐世保市の県議と平戸市議の2人のみで、党の浸透度は未知数。野党共闘の広がりに期待し、社民党県連からは推薦を取り付けた。佐世保市議4人が所属する国民民主や、共産との協力も目指すが、まだ具体的な連携は見えない。
 注目は県議の宮島大典氏(58)の動向。前回の衆院選は「希望の党」から長崎4区で出馬し、末次氏が譲る形で同3区へ回った。宮島氏は再挑戦を否定しており、末次陣営は「どこかのタイミングで協力を要請することになる」とする。
 ただ、宮島氏はもともとは自民に所属。2年後の佐世保市長選を視野に入れているとみられ、今後、保守層との関係構築も不可欠となる。その動静が今後の情勢を決める可能性がある。


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