バイト掛け持ちの24歳にFPが教える将来ラクになるお金の貯め方と働き方

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、アルバイトを掛け持ちする24歳。やりたいことのために勉強をしながら貯金をしているそうですが、徐々に貯金が減っているといいます。しっかり貯めるには何をすればよいでしょうか? FPの横山光昭氏がお答えします。

フリーターです。将来やりたいことがあり、お金を貯めたいと思っています。目標は3年で200万円に達成したいです。

勉強もしなくてはいけなく、毎月の収支はトントンなのですが、時々多く稼げた時に貯金をしているのですが、なんだかんだと足りていない月も多く、学生時代に貯めた貯金100万円が、今では50万円になりました。

上手く貯めるには、投資をするとよいのではないかと思い、証券口座を開設しましたが、その先に踏み込めず、止まったままです。

収入は現状でもある程度稼げていますし、今後の目標のため、定職に就くことは考えていません。投資の始め方や貯金の増やし方等を知り、しっかりとお金を貯めたいので、その方法を教えてください。

【相談者プロフィール】

・24歳、フリーター、一人暮らし

・手取り収入:月収25万3000円(複数のバイト収入の合算)

・貯金:約50万円

・毎月の支出の内訳:25万円

【毎月の支出の内訳】

・住居費(家賃+管理費):4万6,000 円

・食費:2万7,000円

・水道光熱費:1万1,000 円

・通信費:1万円

・生命保険料:0円

・日用品代:5,000円

・医療費:6,000円 (サプリ)

・教育費:6万1,000円(料理教室・ジム・英会話・パソコン教室・参考書など)

・交通費:2万7,000円

・被服費:2万5,000円

・交際費:0円

・娯楽費:5,000円

・その他:1万5,000 円

・国保・国年:1万2,000円


横山:将来の目標のためにお金を貯めたいのですね。ですが毎月の収支状況を見るとあまりゆとりはなく、特別な支出が発生すると貯金を切り崩さなくてはいけない状況です。現に今は貯金が減っているようですし、暮らし方はもちろん、働き方も見直していくと良いかもしれません。

まずは生活防衛資金を貯めることが目標

将来の目標のために200万円貯めたい、投資もしたいということですが、将来使うお金を貯めていくにも、今の生活を守れなければ、実現することはできません。例えば今のままで病気をして仕事に行けなくなれば、何の保障もなく収入が減るだけという状況だと思うのです。そこをカバーできる資金を持つ必要があります。

生活防衛資金は、毎月の生活費の6か月から1年分持ちたいところ。ご相談者の生活費は25万円ほどですから、150万円から300万円といったところです。そしてこのお金を簡単に崩さないよう、毎月の生活費は1.5か月分用意します。イレギュラー支出にも対応できるよう、0.5か月分は予備費として置いておくのです。そう考えると、ご相談者は少なくとも190万円ほどないと生活をやりくりしながら生活防衛資金を持つことができないということになります。結構な金額ですね。その上で目標となる金額を貯めるというのが、理想的です。

投資はこれらのお金が溜まってから始めましょう、というのが正しい考え方なのですが、目標とする金額を貯める期間よりもっと先を見据え、貯金と併走させながら投資信託の積立投資をするのも良いでしょう。時間を味方につけ、資産を増やせる可能性が高いからです。貯金の延長線上にある、効率よい貯め方の一つと考えてよいでしょう。

ただ、貯金を作る、投資を始めるにも、今のままでは実現できません。やるには支出を見直し、削減して、余剰金を作ることに取り組まなくてはいけません。

自己投資が家計を圧迫

全体的に、支出はよくコントロールできています。家賃も安い物件、食費もそう多くない。ですが、自己投資がかなり多く、家計を圧迫しています。教育費、交通費、被服費などを自己投資と分類すると、それだけで11万円を超えてしまいます。

この支出が大きくなっている部分を、まず見直してみましょう。習い事はすべて必要なのか、交通費をかけて通う価値など、細かく見たり、総合的に捉えたりしながら考えていきましょう。将来の目標につながるものかどうかという視点も持ちたいものです。

なりたい自分になるために自己投資をすることはもちろん必要ですが、何でもかんでもやればよいというものでもありません。優先順位をつけてみて、下位のものは違う形で学ぶということも検討できます。いまではスマホアプリや動画サイトなどでお金をかけずに学ぶ手段もありますから。

また、通信費やサプリなども見直し、契約プランの変更など検討してみるとよいでしょう。さらに気になるのは無保険の状態であること。万が一病気をすると、貯金はあっという間になくなります。それを防ぐにも、掛け捨てのものでよいので、医療保険には入っておいた方がよいでしょう。

社会保険に加入する働き方を

今は複数の職場をかけもって働く状況のようですが、1つの職場への比重を大きくすると、社会保険に加入する働き方も可能でしょう。そうすれば国保、国年より保障が手厚くなりますし、雇用保険への加入も可能になり、健康保険や年金保険料は会社が半分払ってくれます。これは正社員にならず、パートでも可能なものなので、検討してもよいのではないかと思います。

社会保険に加入できる働き方とは、
1.週の所定労働時間が20時間以上
2.賃金月額が月8.8万円以上
3.1年以上雇用されることが見込まれる
4.従業員501名以上の勤務先で働いている

かつ、雇用保険に加入できる条件は
1.1週間の所定労働時間が20時間以上
2.最低31日間以上働く見込みがある

です。お若い今はあまり気にならないことかもしれませんが、支払いの自己管理や減免、延長等の調整も手間がかりますし、未納を招く原因の一つになりえるのではないかと思います。天引きで自動で支払ってくれる職場を一つ見つけておくことも自分のために良いことと思います。ご検討ください。

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