【新型コロナ】神奈川のまん延防止再延長「また?」 五輪開催ありきに増す不信

横浜中華街の目抜き通りは人出が戻りつつあるが、飲食店への入店客は少ない=17日午後7時ごろ、横浜市中区

 「だらだら続けても苦しいだけ」。政府が新型コロナウイルス「まん延防止等重点措置」の3週間延長を決めた17日、神奈川県内で解除が見送られる方向となった横浜市などの飲食店から、不満とため息が漏れた。観光地はかつてのにぎわいに程遠く、酔客のいない繁華街も閑散としたまま。営業時間短縮など「締め付け」が続く一方で「五輪開催ありき」の思惑が透け、政府への不信感は増すばかりだ。

◆横浜中華街「もう意味ない」

 「土日に来る人もほとんど若者。みんな食べ歩きで通り過ぎていく」

 飲食店の前で客を呼び込む男性(24)はこう嘆き、シャッターを下ろした店が目立つ大通りを眺めた。

 夕暮れ時の横浜中華街。人出は戻りつつあるが、大半の飲食店に客の姿はない。60年続く中華料理店を切り盛りする女性(80)は「また延長? これ以上続けたってもう意味ないよ」と落胆し、言葉をつないだ。

 「コロナが始まってからの1年2カ月、中途半端な施策が続いて状況は何も変わっていない」

 昨年4月から時短営業などの規制を強いられ、売り上げはコロナ前の5分の1に落ち込んだ。毎晩のように店を畳むことを考えては、30人余りの従業員を守ろうと踏ん張ってきた。蓄えは底を突き、銀行から2度の融資を受けた。この日届いた給付金も従業員2人分の月給で消えた。

 重点施策の再延長期間は午後7時までの酒類提供が条件付きで認められる見通しだが、「仕事終わりの人がようやく店に来られる時間。禁酒と同じで客足は戻らない」と期待はできない。今は余った人手で機械生産から手作りに変えた配送用のシューマイだけが店の支えといい、つぶやいた。「苦しむだけの期間はいつ終わるのか」

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