共創ネットワークの「周辺」と「中心」が果たす役割、東京大学が解析

近年のインターネットの普及により、オンライン上での協力による創作活動(共創)が盛んになっている。東京大学の楊 鯤昊大学院生、植田一博教授らの研究チームは、オンラインコミュニティーを対象に共創パターンを分析し、周辺メンバーと中心メンバーのそれぞれが果たす役割を明らかにした。

創作活動における参加者間の共創関係をネットワーク(共創ネットワーク)として可視化した場合、共創ネットワークの中心メンバーと周辺メンバーとが重要性の点で異なるとされる。周辺メンバーの方が、オリジナルな内容を創造する場合が多いため、重要な役割を果たすと報告されてきた。しかし、従来の研究では、中心メンバーと周辺メンバーとが共創行動において異なる役割を果たす可能性が不明だった。

今回、「SCP-Wiki」、「GitHub」、「Idea Storm」という、多くの参加者を誇る3つのオンラインコミュニティーを対象に、共創パターンを分析した。まず、各オンラインコミュニティーの参加者を中心メンバーと周辺メンバーの2種類に分類。そして、参加者間の共創関係を分析した結果、共創ネットワークにおける周辺メンバーが主にオリジナルな内容を創造する役割を担い、創作物の「量」を増やすことに貢献していた。一方、中心メンバーは主に他者によって創造された内容を修正する役割を担い、創作物の「質」を高めることに貢献していた。

研究では、参加者がネットワーク内での立ち位置に応じて異なる役割を担い、創作物の「量」と「質」に対して異なる影響を与えていることを示し、参加者間の共創パターンを明確にした。今回の研究成果は、実社会での組織づくりにも貢献することが期待される。

論文情報:

【Scientific Reports】Cooperation patterns of members in networks during co‑creation

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