インディカーデトロイト戦で見えたロード強者。タイトル争いはオワードを軸にガナッシ勢が続く展開か

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 今季のインディカーシリーズはここまで、ロードコースはバーバーとインディアナポリス・モーター・スピードウェイ(IMS)での2戦、ストリートはセントピーターズバーグとデトロイトでのダブルヘッダーの3戦を終えた。これら5戦で5人のウイナーが誕生。

 バーバーではアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)がインディカーでの初優勝を挙げ、セントピートではコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート)がキャリア4勝目。IMSのロードではリナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)、デトロイト・レース1ではマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ)が同じくキャリア初優勝を飾り、レース2ではパト・オワード(アロウ・マクラーレンSP)がストリート戦を初めて制した。

 驚くべきことに、これら5人のウイナーたちは全員が20代。シリーズの勢力図は急速に書き換えられてきている。彼らはタイトル獲得経験を持つベテラン相手でもまったく動じることがない。パロウは2番手ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)との間隔を確認しながら走り、逆転の隙を与えずにゴール。ハータはジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)を寄せ付けなかった。

 そして、デトロイト・レース2ではオワードがパワー、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)、ニューガーデンをバトルで下しての勝利。この勝ちっぷりは近年、このシリーズでなかなか見られなかったものだ。テキサスのオーバルでキャリア初勝利を挙げたばかりのオワードは、ストリートでの速さ、バトル時の勝負強さにも目を見張るものがある。

 デトロイトではレース1で今季2度目のポールポジションを獲得して3位フィニッシュ。同レース2では5番手で迎えた最後のリスタートから2周のあいだに3ポジションをアップ。ニューガーデンのレッドタイヤがタレてきたところを見計らって残り4周のタイミングで捉え、そのまま逃げ切った。

 オワードはロード/ストリート、オーバル、どのタイプのコースでも非常に高い適性を披露してきており、彼がタイトル争いの軸となることは間違いなさそうだ。

 若手ふたりがロード/ストリートで計2勝しているチップ・ガナッシ・レーシング(CGR)。ディクソンを中心にエリクソン、パロウと実力派3人で情報を共有しながらクルマ作りを進め、それが機能している。彼らもコースのタイプにかかわらず速い。

 第8戦終了時点ではパロウがドライバーのポイントスタンディングで2番手。チームのなかでもっとも多くのポイントを稼いでいるが、CGRのナンバーワンはあくまでもディクソンだ。彼はタイトル争いに確実に絡んでいくだろう。

パト・オワード(アロウ・マクラーレンSP)
アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)

■今季はエド・カーペンター・レーシングとデイル・コイン・レーシングにも注目

 アンドレッティ・オートスポートはレギュラーの4台に加え、エンジニアを派遣しているマイヤー・シャンク・レーシングが1~2台をエントリーしている。5~6台で集める豊富なデータ量が彼らの武器だ。ドライバーたちのなかで、クルマ作りに関してリーダーシップを発揮しているのは誰なのか。

 ハータが速いとアレクサンダー・ロッシが遅く、ロッシが速いとハータが遅い……というパターンが少なくなく、それによってチーム全体が下降線を辿っているように見える。今年からマルコ・アンドレッティがインディ500だけのスポット参戦となった。このチームはドライバーラインアップの変更、強化が必要だろう。

 チーム・ペンスキーは今季ここまでまさかの未勝利。ラインアップにかつての迫力が感じられない。資金力、エンジニアリングなどはいずれもシリーズのトップレベルのはずなのだが……。ルーキーのスコット・マクロクリンは将来有望と映っている。

 ニューガーデンは予選、決勝ともにパフォーマンスがもっとも安定している。一方で、パワーとシモン・パジェノーはその逆。しかし、インディ500で勝てる力を持っているのはこのふたりで、放出してのチーム大改造というのも難しい。

 今季面白いのは、エド・カーペンター・レーシング(ECR)の台頭と、デイル・コイン・レーシング(DCR)の安定したパフォーマンスだ。ECRは久しぶりの優勝をIMSのロードコースで飾り、DCRはさまざまなコースでマシンセッティングを高いレベルに仕上げてきている。ただ、予選から決勝までを通して好パフォーマンスを維持し続けることができていない。

 佐藤琢磨とグラハム・レイホールの2台体制を敷くレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは、ロード/ストリートのマシンの戦闘力アップが思うように進んでいない。ふたりともデトロイトは得意としているはずだが、表彰台フィニッシュはならなかった。この2戦にはサンティーノ・フェルッチも出場。3台で集めたデータを今後のクルマ作りに活かせれば、成績も上向いてくるはずだ。

ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)
リナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)
auto sport No.1555