〈動画あり〉上越市のカトリック高田教会 パイプオルガン分解、整備 聖堂床工事に併せ 来月中旬に完了予定

 上越市西城町2のカトリック高田教会に設置されているパイプオルガンの分解、整備が、聖堂の床工事に併せて行われている。設置以来19年を経て初めての作業は部品ごとに清掃し、来月中旬までに床工事とともに完了する予定。

よみがえった音聴いて コンサートを計画中

 パイプオルガンは2002年、長年にわたって同教会の主任司祭を務めたカンドゥチ・マリオ・タルチシオ神父(20年に死去)が購入したもの。故郷イタリアのマッショーニ社製で、高さ約3・5メートル、幅と奥行き約2・2メートル、重さ約2トン。日々のミサの他、教会でのコンサートでたびたび使用されてきた。

 整備作業はこれまでも調律に携わっている、オルガンビルダーの西岡誠一さん(63、東京都)らが担当。パイプオルガンは定期的な調律の他、15~20年ごとにオーバーホールが必要で、今回は今月10日に作業を始めた。今週中に分解と清掃の第1期作業を終え、来週から組み立ての第2期作業、最後に調律を行う。

祭壇前に移されたパイプオルガン本体。細かく分解し、丁寧に清掃を進めていく(16日)

 膨大な部品で構成されたパイプオルガンを分解し、一つ一つたまったほこりや汚れを落とし、消耗した部品を交換していく。組み立てや部品の取り扱いに少しでもミスがあれば、音が変わってしまうため、作業数が多くても手を抜けないという。その上、部品の木、金属、革、さらには建築の知識と技術が必要とされる。

 西岡さんは「パイプオルガンは国ごとに特徴がある。一口には言えないが、イタリア製は明るく、人の声を思わせる音が出る」とし、「込められた思いをくんで、しっかり復元したい」と話す。

 同教会の信徒で、マリオ神父とも長い付き合いだった松矢光一さん(72)は、「マリオ神父は床板もイタリア製にこだわっていた。日本だと湿気が強く、工事後に板が反り返ってしまって、今の形にするため、すぐにまた工事をしていた」と回想。工事の完了後は同教会でのコンサートを計画中で、「久々の手入れでよみがえったパイプオルガンの音を、ぜひ聴きに来てほしい」と願った。

祭壇正面から向かって左に設置されているパイプオルガン(写真は2020年2月のコンサートの模様)

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